巡視船おおすみ の入港

PL202おおすみ

鹿児島ニュースKTS 新造大型巡視船「おおすみ」鹿児島市・谷山港に初入港 全長約120m 前後に40ミリ機関砲 (23/05/01 18:58)

鹿児島海保の新巡視船
「おおすみ」、鹿児島港に初入港
冨田悦央2023年5月5日 10時15分

鹿児島海上保安部所属の新造大型巡視船「おおすみ」(約3500トン)が1日、初めて鹿児島港に入港した。同部所属の大型巡視船は8隻目で、尖閣諸島などの領海警備や海難事故・災害の救助にあたる。

(中略)
同部には大型巡視船「あさなぎ」(約6千トン)が7月6日に、「ゆみはり」(同)が今年度内に配属される予定で、大型巡視船は10隻に増える。

鹿児島海保の新巡視船「おおすみ」、鹿児島港に初入港:朝日新聞デジタル (asahi.com)

PL202おおすみ について

みやこ型巡視船の2番船【おおすみ】が2023年(令和5年)4月21日に竣工し、5月1日に配属先の鹿児島港に入港しました。

当初、令和4年度の完成が予定されていましたが、一年度遅れとなりました。

【おおすみ】建造上のトラブルを聞かないので、コロナウィルスの感染拡大やウクライナ戦争などの世界的な情勢が影響したのでしょうか。

いずれにせよ、
無事の完成配備をお祝いしたいと思います。

さらに報道によれば【あさなぎ】【ゆみはり】も配属が予定されているようで、鹿児島保安部の大増強が続きます。

番号船名全長搭載
ヘリ
備考
PLH
31
しきしま150m2機配備中
解役予定
PLH
33
れいめい150m1機配備中
PLH
34
あかつき150m1機配備中
PLH
42
しゅんこう140m2機配備中
PLH
43
あさなぎ140m2機7月
配備予定
PLH
44
ゆみはり140m2機配備予定
PL
202
おおすみ120mなし配備中
PL
07
さつま91.4mなし配備中
PL
52
あかいし95mなし配備中
PL
69
こしき89mなし配備中

PLH03おおすみ について

さて、
PL202おおすみの完成までの間に海上保安庁的にも様々な情勢変化がありました。

まず船名「おおすみ」の先代となるPLH03おおすみについて。

PLH03さがみ
管理人撮影



同船は1979年に【鹿児島】で就役し、2019年に【横浜】に転属となりました。

しばらくはそのままだったのですが、2022年2月1日に【さがみ】に船名変更。

ヘリ1機搭載型の名前は、山・海峡・旧国名から採られるので由来は相模国さがみのくにだと思われます。

相模国は現在の神奈川県(の大部分)のこと。


そして最近では2023年3月に【さがみ】船長に中林久子さんが就任されました。

このニュースは大型巡視船初の女性船長就任ということで、多くのメディアで取り上げられました。

【海上保安庁】大型巡視船に初の女性船長が就任 日テレNEWS 2023/03/28


中林船長の背後に映る【さがみ】もどこか誇らしげで、すっかり三管の船として馴染んだ感じがしますね。

新旧おおすみの答え合わせ

それでは私のPL202おおすみ進水時の予想について、答え合わせをしてみます。

新おおすみは鹿児島への配備の可能性が高いです。
とは言え、鹿児島海上保安部にとって純増の形になるのかはわかりません。

もしかしたら同保安部に所属するPLH31しきしまあるいはPLH42しゅんこうと入れ替える形で配備になるのかもしれません。

巡視船おおすみ の行き先 | 巡視船を見に行こう!.com (letsgojcg.com)


まずPL202おおすみが【鹿児島】配属になったのは当然として。

【しきしま】【しゅんこう】の入れ替えがあるどころか、増強に次ぐ増強になりました。

今や【鹿児島】はPLH型の最大拠点となっています。

一方で旧おおすみについては、次のように予想していました。

少なくとも新おおすみの就役にともなって船名変更はされるでしょう。その上で、横浜海上保安部に所属し続けるか、他の場所へ転属になるかの2つの可能性が考えられます。

私としてはPLH21みずほPLH41みずほのような関係になるのではと予想しています。

すなわち後継船に名前を譲り、自身はPLH21ふそうに船名変更して舞鶴海上保安部へ転出する…という形です。

巡視船おおすみ の行き先 | 巡視船を見に行こう!.com (letsgojcg.com)


しかし、旧おおすみ【横浜】に残った上で地元:神奈川県らしい名前【さがみ】に生まれ変わりました。


新おおすみは【鹿児島】配属になる、
旧おおすみは船名変更される。

結局、
こうした簡単な予想は当たったものの、それぞれの保安部の船艇勢力に対する読みが甘かったなぁと思う次第です。

新旧おおすみの比較

改めて新旧2隻を比較してみましょう。

旧:PLH03おおすみ→さがみ
ヘリコプター1機搭載型
105.4m
つがる型2番船
鹿児島→横浜に配備中
(2023年現在)

新:PL202おおすみ
大型巡視船
(ヘリコプター非搭載)
120m
みやこ型2番船
鹿児島へ配備
(2023年度)


2隻の大きな違いとしてはヘリコプター搭載型か否か。

新おおすみにはヘリが離発着できる甲板はありますが、機体を整備するための格納庫を備えていません。

しかし【鹿児島】には他のPLH型が多数そろっており、洋上におけるヘリ運用はそちらでこと足りるのでしょう。



ただ、ふりかえってみると【さがみ】などPLH01~10までのヘリ1機搭載型は、各管区におけるフラッグシップとして活躍してきました。

また国際航海も可能であるため、東南アジアにおける海賊対策訓練のために派遣されたりもします。

さらにわたしたち一般市民としても、体験航海や観閲式でお世話になる船として馴染み深い存在でもあります。

ヘリ格納庫での物販コーナーで海保グッズを買ったのもよき思い出…。

鹿児島時代と同じく、旧おおすみ【さがみ】も警備救難・国際貢献・市民広報とマルチに活躍してくれることでしょう。


なお、
【しきしま】を始めとするPLH31~35が海保最大の船ですが、これまでに一般市民に公開されたことはありません。

このシリーズは所属管区よりは、海上保安庁全体を代表する船という位置づけかなと思います。

みやこ型の位置づけ

さて、
問題は従来のヘリ1機搭載型が担ってきたフラッグシップの位置を、今後はどの船が担うのか?ということです。

まず、ヘリ2機搭載型である【しゅんこう型】は4隻の建造が予定されています。

その内【しゅんこう】は鹿児島に配備中。

【あさなぎ】【ゆみはり】も令和5年度に鹿児島へ配属予定との報道がなされています。


その一方、
ヘリ非搭載の大型巡視船【みやこ型】は8隻までが建造予定のようです。

同型は今後のPL巡視船の一つのスタンダードモデルと言えそうです。


しかしそうなると、
【さがみ】のようなヘリ1機搭載型PLHの後継船が見当たりません。

従来世代新世代備考
ヘリ
2機
しきしま
あきつしま
れいめい型※※ヘリ1機
運用中
ヘリ
2機
初代みずほ
やしま
2代目みずほ
しゅんこう型
ヘリ
1機
そうや
つがる型
????
ヘリ
非搭載
いずみやこ型

この空白を予想するための手がかりとしては、まず【PLH01そうや】の代替船。


【そうや】の代替船がどのような型になるかまだよくわかりませんが、一つの試金石になるのでないかと思います。

また、
【みやこ】
【おおすみ】
【やえやま】以降の【みやこ型】たちがどこに配備されるかも注目です。

PL201みやこ
管理人撮影


3番船【やえやま】はまだ建造中で配備先は決まっていませんが、おそらく【石垣】でしょう。

それよりも次の4番船がやっぱり南西海域(10・11管区)になるのか、それ以外の地域に配備されるのかが気になります。

もし4番船以降が全国の各地に配属されるようなら、従来の【ヘリ1機搭載型】から替わって【みやこ型】が各地のフラッグシップになる可能性も…?

まとめ

というわけで、
新【おおすみ】の就役とあわせて、今後の【ヘリ1機搭載型】について考えてみました。

大量建造が続く【みやこ型】たちが、今後の海上保安庁の船艇勢力にどのような変化をもたらすのか?

果たして3年後の令和8年度のフラッグシップはどの船が担うのか?

当サイトは【みやこ型】巡視船のゆくえに注目していきます。



全長120mの巡視船「おおすみ」引き渡し 海域の取り締まりや海難救助を KSB瀬戸内海放送 2023/04/21  

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