シンチャオ!ベトナム巡視船【予習編】

こんにちは!ベトナム巡視船。
ただ眺めるだけじゃつまらない、より楽しむためのポイントをご紹介。

ベトナム巡視船が神戸港を訪問

CSB8004
日本訪問・交流に出航
24/09/2023 09:41:00 AM

(ベトナム海上警察ニュース)
9月24日朝、ハイフォンにおいて、第1管区司令部はCSB8004の代表団および将校・乗組員が海上保安庁を訪問し、交流するための壮行式を行いました。

第1管区副司令官のレ・タン・ハイ大佐が指揮する巡視船CSB8004は、神戸市を訪問し、次のような多くの活動を行います。

海上保安庁:第5管区海上保安本部との運用経験の交換と共有。捜索救助方法の調整と防火演習。神戸市内の文化遺産の訪問。海上保安庁主催のレセプションへの出席。


※原文を管理人が適宜意訳した。

ベトナム海上警察(canhsatbien.vn)の国際協力>>活動

はじめに

皆さんご存じでしたか?

今年2023年(令和5年)は日本とベトナム社会主義共和国の外交関係樹立50周年だそうです。

このため日本・ベトナム各地で様々な記念イベントが行われています。

そういえば大型巡視船【PLH07せっつ】が、今年の1月から約一か月間ベトナムに派遣されていましたね。

そして、今度はベトナムの巡視船【CSB8004】が日本を訪問するというニュースが発表されました。

現在、同船はベトナムを出航し、神戸市に向かって来ている途中。

しかし未だに海上保安庁からの発表がないので、到着にはもう少し時間がかかりそうです。

2023.10.01 20:00 追記
AISやツイッター情報などから、
10月2日(月)の神戸港入港の見込みです。



ところで実はベトナム巡視船の日本訪問は今回が2回目。

そこで【予習編】と題して、前回来訪時の様子をご紹介します。

せっかくの機会ですから、ただ眺めるだけじゃつまらない!

事前に知っていればより楽しめるフネのあれこれをお伝えしていきます。

白いアイコンは本部所在地:首都ハノイ


※以下に掲載した写真は当サイト管理人が撮影したものです。

※撮影は立入が認められている場所でのみ行っています。


ベトナム海上警察について

まずは【ベトナム海上警察】の名称から。


日本語
ベトナム海上警察

ベトナム語
Cảnh sát biển Việt Nam

英語
Vietnam Coast Guard



ベトナム語では、
Cảnh sát biển Việt Namカン サット ビエン ベトナムと読むようです。

Cảnh sát カン サット が警察、
biển ビエン が海という意味。

これらの単語の頭文字をとって“CSB”と略称しています。

そして英語公称として”コーストガード”を使っているので、”VCG”とも呼ばれるようです。

このあたりは日本の海上保安庁が”海保”、”JCG”と略されるのと同じですね。

なお、
”COAST GUARD”は一般的に沿岸警備隊と訳されますが、CSBのことを海上保安庁が【ベトナム海上警察】と呼んでいるので、当サイトでもこれにならうことにします。


初来日時の様子

さて、
そんな【ベトナム海上警察】の巡視船が初来日したのは、2019年(平成31年)12月3日のこと。

【横浜海上防災基地】に巡視船【CSB8002】が入港し、音楽隊の演奏を交えた歓迎式が行われました。

ちなみに当日は風雨が強かったため、室内での開催だったのがちょっと残念でした。


このときは、
2019年11月24日にベトナムを出発し、12月2日に横浜へ到着しました。

日本滞在中には、海上保安庁長官への表敬訪問や実務者会合、横浜基地・海保大の視察、共同曳航訓練を実施。

そして、12月6日に海上保安庁職員の帽振れを受けながら、母港へと帰っていったのです。

CSB8002について

それでは当時日本を訪れたフネ【CSB8002】の諸元について。


この船は次にやって来る予定の【CSB8004】と同型船。

国防省、
ヘリポート併設の海上警察船を進水
2014/10/07 14:46 JST配信

国防省傘下のソントゥー(Song Thu)社とベトナム海上警察は、南中部沿海地域ダナン市で4日、ヘリポート併設船舶「CSB8002」の進水式を開催した。

同船舶は、全長90m、幅14m、最高速度21ノット、排水量2400t、連続40日の海上活動が可能。

同船舶は、オランダで設計された国際水準の多機能船舶で、ヘリポートのほか、船内には救急処置室を併設。

さらに最高速度21ノットの15人乗り高速救助艇を2艇搭載している。

国防省、ヘリポート併設の海上警察船を進水 [社会] – VIETJOベトナムニュース (viet-jo.com)



【CSB8002】はオランダの造船会社:ダーメン社の設計に基づいて、ベトナム国内で建造されました。

全長だけで言えば、【PL71いわみ型】の92mが近いのですが、形状はまったく異なります。



日本ではあまり見かけないこの船形は、ダーメン社におけるOPV(Offshore Patrol Vessels)と呼ばれる中規模のフネです。

オフショアは”沖合の”という意味。

定着した日本語訳はまだ無いようですが、海上自衛隊では【哨戒艦】という名称でジャパン・マリン・ユナイテッド社による建造が決定しています。

現在、
世界各国の造船会社がOPVと呼ばれるタイプの設計・建造に取り組んでおり、【CSB8002】もそのようなトレンドの中で生まれた船だと言えるでしょう。

船名・シリーズ名について

【ベトナム海上警察】の巡視船に固有名称はありません。

これはロシアや中国のような共産主義国のフネにみられる傾向のようで、こうした影響を受けているのでしょう。

その代わりに【海上警察】のCSBを接頭語として、担当任務の区分と一連番号で船番号が構成されています。

CSBCảnh Sát Biểnの略称。
80-遠距離海域での警戒監視、海や島の保護、
指揮機能を担う2500トンの船であって、
ヘリ甲板を備えるもの。
-02一連番号。2番船の意味。
ベトナム語版ウィキペディアに基づく

なお、
この船のシリーズ名は【DN2000】と言い、「多用途」を意味する“đa năng”と、排水量2000トンという規模からつけられています。

すなわち本船はベトナム海上警察の、

多用途2000トン型巡視船
(ヘリ甲板構造)
2番船【CSB8002】


…というふうに読み取れるワケですね。

そして同シリーズは5隻まで存在し、2023年にやってくるのが4番船【CSB8004】となります。

ロゴマークとレーシングストライプ

それでは【CSB8002】の外観を見ていきましょう。

まずはいつものロゴマークとレーシングストライプから。

CSBのロゴマークは次のようなモチーフで構成されています。

頂点に五角の星。
中央には絡み錨と交差剣。
農業を示す稲穂。

ただし、海上警察のロゴマークは媒体によって微妙に異なっているので、ちょっと混乱してしまいます。

おそらく工業を示す歯車も描かれているものが正式なデザインかと思うのですが…。

公式HPバナー画像の一部拡大

と言うのも、
これらはベトナムの国章に由来しており、ベトナム人民海軍のそれにも類似しているからです。

ベトナムの国章(標準)
ベトナムの国章~間違いも結構あるって本当?~│ベトナム生活情報サイト、VIETJO Life(ベトジョーライフ) (viet-jo.com)
ベトナム人民海軍のロゴマーク
ベトナム人民軍-ウィキペディア (wikipedia.org)

その他、レーシングストライプにはオレンジ・白・青のカラーが使われており、白い船体にオレンジの太いストライプが特に印象的です。

なお、公式HPにはモチーフや色の由来についての記述は見当たりませんでした。



船首から船尾まで

ここから船首から船尾までをサラッと見ていきます。

船首

この船の特徴は前甲板の船縁ふなべりが非常に高い位置にあることでした。

そのため甲板の内側を窺い知ることができません。

なので、
もし次に【CSB8004】を撮影するなら、高い位置からを狙ってみると良いかもしれません。

ただし、神戸ポートタワーは現在リニューアル工事中なので、どこか適当な場所を探さないといけませんね。


横断幕「CSB8002へようこそ!」

CẢNH SÁT BIỂN VIỆT NAM
VIETNAM COAST GUARD


船体側面には組織名がベトナム語と英語で書かれています。

ここではカン・サット・ビエン~はすべて大文字となっていますね。

ついでに言うと、
ベトナムは漢字文化の歴史もあり、フランスの植民地だったこともあるのですが、これらの言語での表示はされていません。


船尾

後部上甲板はヘリコプターが離発着できるようになっており、展開式のフェンスに囲まれています。

そして船尾にはおそらく船艇旗と思われる紺色の三角の旗が掲げられていました。

ウィキペディアの画像出典説明において、この旗が「主にどのような目的を果たしているかは正確にはわからない。」とされています。

Cảnh sát biển Việt Nam – Wikipedia tiếng Việt



その下の壁面には8002の船番号とIMO(国際海事機関)番号9667710が書かれています。

最後に、
旗の下には船籍港の地名…、
ではなく造船会社のロゴがあしらわれているのがちょっと意外でした。

とは言え、車だってトヨタとかホンダのロゴが先頭に飾ってあるので、そんなに変なことではないのかも。

SONG THU ロゴ

このSONG THUソントゥーはベトナム国防省の傘下にある企業なのですが、こういう会社形態があるのもお国柄でしょうね。

おわりに

さて、
【予習編】と題して来たる色々と事前情報をお伝えしてきました。

コーストガードの船には様々な装飾が施され、船全体からの「ワタシはこういう者です!」というアピールを感じることができます。

それは軍艦が構造的にステルス化、人間の視覚的にロービジ化(低視認性化)を目指すのとは対照的な特徴です。

もしみなさんが【CSB8004】を見るチャンスがあれば、ぜひこうした点に注目してみてください。

そして、
今年は日本-ベトナムの外交樹立50周年であるとともに、ベトナム海上警察設立25周年でもあります。

来港の際にはこれもみなさんでお祝いしてあげましょう!

ベトナム沿岸警備隊設立25周年を祝う。
(1998年8月28日〜2023年8月28日)

ベトナム沿岸警備隊設立25周年を祝う-Cảnh Sát Biển Việt Nam | Facebook

↑上の画像の引用元が公式Facebookなのかどうかいまいち不明なのですが、一番それっぽいのでご覧ください。

純粋に広告戦略が上手いな~と思わされる魅力的な写真が掲載されていますよ。

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