コーストガードのトップが日本集結ッッ!!
海の安全を守っているのはこの人たちだッ!
祭りが始まった!!
東京都内 某ホテル
地下6階
世界最高のコーストガードを
見たいかーーーッ?
オーーーーー!!!!
ワシもじゃ
ワシもじゃ みんな!!
長官入場!!!
全長官 入場です!!!!
海のサーチ&レスキューなら
我々の歴史がものを言う!!
陛下の沿岸警備隊
ディレクター:クレア・ヒューズ!!!
クレアヒューズ – GOV.UK (www.gov.uk)
かつてはアメリカだが
今なら全閘門オレたちの管理だ!!
パナマの航空海上保安隊
エリエセル・アントニオ・カルデナス・キンテロDGだ!!!
国立航空海軍サービス (aeronaval.gob.pa)
バーリ・トゥード(軍警兼務)なら
この人が凄い!!
ブラジルの生粋の海軍軍人
マルコス・サンパイオ・オルセン提督だ!!!
海軍司令官 |ブラジル海軍 (marinha.mil.br)
韓国海洋警察庁から
炎のオジロワシが上陸だ!!
コミッショナージェネラル:
キム・ジョンウク!!!
コミッショナーオフィスを開く (kcg.go.kr)
USCGこそが
コーストガードの代名詞だ!!
まさかこの女性がきてくれるとはッッ
アドミラル:リンダ・L・フェイガン!!!
USCG Commandant’s Home Page
《 つづく 》
祝!CGGSⅢ 開催
…はい、すみません。
漫画『グラップラー刃牙』のこのネタがやりたかっただけです。
でもわりと上手くはまったので後悔はしていません。
(´・ω・)
題して、
バキ最大トーナメント風 CG長官入場。
そもそもこれをやろうと思ったきっかけは、
こちら↓のニュースが飛び込んできたから。
世界海保機関長官級会合が10月30日から開幕
約100の国・国際機関が参加
|海保・日本財団海上保安庁と日本財団が共催する「世界海上保安機関長官級会合(CGGS)」が10月30日から3日間、東京都内で開催される。
世界海保機関長官級会合が10月30日から開幕 約100の国・国際機関が参加|海保・日本財団 – 防衛日報デジタル|自衛隊総合情報メディア (dailydefense.jp)
会合では各保安機関が抱える課題解決に向けて各国の経験・知見を共有する。
具体的には人材育成の取り組み状況や海保機関による無人運航船の活用策などについて議論を重ねる。
今回は過去最高の約100の国・地域が参加する見込み。
改めて説明すると、
2023年10月30日(月)から、
世界海上保安機関 長官級会合が開催されます。
英語名称は
コーストガード グローバルサミット。
(CGGS)
今回は第3回目となり、
過去2回に引き続き東京に世界のコーストガード機関のトップが集まります。
開催期間 | 開催場所 | 参加国・ 地域 | 参加機関 | 参加 国際機関 | |
第1回 | 2017. 09.14 | ウェスティン ホテル東京 (目黒区三田) | 35 | 38 | 3 |
第2回 | 2019. 11.20 ~11.21 | ヒルトン東京 お台場 (港区台場) | 75 | 76 | 8 |
第3回 | 2023. 10.31 ~11.01 | ホテル ニューオータニ (千代田区 紀尾井町) | 86 | 87 | 9 |
現在、世界の国の数は197。
その内、内陸国の数は48。
つまり、149の国々が海に面しています。
今回、約100もの国・地域から、コーストガード機関のトップが東京に集結します。
これはつまり
”海”と接する国々の半数以上が
日本に集まるということ。
(※湖の扱いとなるカスピ海に面するアゼルバイジャンも、第1回会合から参加しています。)
そして、
世界中からこれだけの国が集まるのは、東京オリンピック2020以来のことではないでしょうか。
このすごさ・すばらしさを
何とか皆さんに伝えたい!
世界のコーストガードの幅広さを
知ってもらいたい!
これらをわかりやすく
表現する方法はないものか!!
…ってことで、
冒頭のネタにつながるワケですね。
( ̄▽ ̄)
どうでしょう、
ちょっとは世界のコーストガードに興味を持っていただけましたか?
それではせっかくなので、
もう少し各国のCG機関をご紹介していきたいと思います。
イギリス王立沿岸警備隊
まずはイギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)から。
His Majesty’s CoastGuard
王立沿岸警備隊
https://hmcoastguard.uk/
長い歴史と伝統を持つイギリスのCGは、その名も王立沿岸警備隊。
マジェスティは威厳・荘厳という名詞で、hisをつけると君主(男性)に対する敬称「陛下」という意味になるようです。
そのため先のエリザベス女王時代は、
Her Majesty’s CGと呼ばれていました。
この「陛下の沿岸警備隊」を意訳して
”王立沿岸警備隊” となるわけです。
組織の発足は1822年(文政5年)。
大まかな時代背景としてはナポレオン戦争後のウィーン体制が維持されていた頃。
イギリスでは産業革命が進んでおり、1825年にはスティーヴンソンによる蒸気機関車が実用化されています。
そんな時代の中で、
現代までつながる組織であり、かつ
「コーストガード」と最初に名乗ったのがHMCGでした。
(※HMの冠詞がつくのは第一次世界大戦後から)
この組織の特徴は海難救助と環境保護を専門とする運輸省の部隊であり、法執行機能は有していないこと。
たとえば海上における国境管理は内務省に属する国境警備隊の任務で、こちらにもレーシングストライプのある船艇部隊が存在します。
なお、
イギリスは第1回は不参加であったものの、CGGSⅡにはHMCGの方を出席させています。
はたして今回はHMCGとボーダーフォース、どちらの機関が参加するのでしょうか?
この点が注目です。
パナマ航空海上保安隊
SErvicio Nacional AeroNaval
航空海上保安隊
http://www.aeronaval.gob.pa/?op=home
パナマと言えばパナマ運河。
太平洋と大西洋が3つの閘門を経てつながる海上交通の要衝(チョークポイント)です。
このパナマ運河はアメリカによって建設・管理されていましたが、2000年以降はパナマ共和国が完全に管理しています。
さて、
そんなパナマでは1989年に常備軍を廃止。
そのため陸海空軍が存在せず、公安省に所属する各治安部隊が外国からの脅威に対する防衛力ともなっています。
そのうちの一つが、
航空海上保安隊(エアロナバル)。
海軍(navy)と空軍(air force)が存在しない代わりに、船艇・航空機等の実働勢力を有するのがこの組織です。
さらに、
「戦時以外の状況において、海上の安全、治安および環境保護の業務を総合的に」実施しているため、同国におけるCG機関とみなしてよいでしょう。
ところで。
パナマは長年、中華民国(台湾)と国交を結んでいましたが、2017年に中華人民共和国との国交へ切り替えました。
そんなパナマが日本の海上保安庁(≒アメリカ沿岸警備隊)が主導するCGGSの枠組みに参加するかどうか。
これまた注目されるところです。
ブラジル海軍
Brazilian Navy
ブラジル海軍
https://www.marinha.mil.br/
「マリーニャ・ド・ブラジル」とはポルトガル語でブラジル海軍のこと。
ブラジル連邦共和国では海軍がCGGSⅡに参加しました。
これは国防省(Ministry of Defense)に属する海軍が、コーストガードの機能も兼ね備えているためです。
その海軍の任務は憲法に定められ、さらにそれを補足する法律には次のようにあります。
憲法補足法 第97/99号
(Complementary Law No. 97/99)第17条
海軍は付随的責務として以下の責任を負う。Ⅰ 国防に関する商船とその関連活動の指導および管理。
LCP97 (planalto.gov.br)
Ⅱ 水路航行の安全の提供。
Ⅲ 海洋に関する国家政策の策定と実施への貢献。
Ⅳ 特定の権限に基づき必要に応じて、連邦または州の行政府の他の機関と連携した、海上および内水域における法律および規制の励行および監視。
Ⅴ 必要に応じた、海・内水および港湾区域の使用に関する、国内または国際的な影響をもたらす犯罪の抑圧における、後方支援・諜報・通信および指導の形式による連邦機関との協力。
これらの任務の特殊性により、この目的のために「海事当局」として指定され、当該条文に記載されている事項に対処するのは海軍司令官の責務である。
※原文を管理人が適宜意訳した
ブラジルでは宗主国であったポルトガルの影響もあってか、軍隊が法執行機関の役割を付随的に担っています。
ちなみに、
そのポルトガル海軍もまたCG機関として機能しており、第1回目からサミットに参加しています。
ポルトガルのように、建国当初から海軍の存在が根付いている国ならではの在り方だと言えるでしょう。
韓国海洋警察庁
Korea Coast Guard
海洋警察庁
https://www.kcg.go.kr/kcg/main.do
大韓民国の海洋警察庁の特徴は、陸上の一般警察との関係性が強いことです。
まず、
1953年(昭和23年)に内務省所属の警察組織の内部機関「海洋警察隊」として発足。
その後、数々の変遷を繰り返したものの、現在は海洋水産省の外局として独立しています。
ただし、近年まで組織の幹部は韓国警察庁からの出向者で占められていたため、やはり陸上警察との結びつきが強いと言えます。
そんな海洋警察庁と韓国警察庁との関係の深さはロゴマークにも表れています。
並べてみると海洋警察庁・警察庁ともに鷲をモチーフにしているのでよく似ています。
しかし海洋警察庁はオジロワシ、警察庁はオオワシという違いが。
どう違うのかは↓こちらを参照。
実際のオジロワシ・オオワシの特徴に従って、ロゴマークのワシのくちばしの大きさも違うのがわかるでしょうか?
韓国はこうしたデザイン面に力を入れており、海洋警察庁には日本以外で唯一名前のあるマスコットキャラがいます!
(…と思っていたら最近インドにもマスコットキャラができてました)
以上のように日本の海上保安庁と似ている部分・似ていない点が様々あるのが韓国海洋警察庁です
アメリカ沿岸警備隊
United States Coast Guard
アメリカ沿岸警備隊
https://www.uscg.mil/
コーストガードの船と言えば、
真っ白な船体に、
斜めのストライプ。
側面には大きく”COAST GUARD”の文字。
おそらくこんなイメージがパッと思い浮かぶと思います。
実はこれはアメリカ沿岸警備隊を世界が模倣した結果。
微妙な違いはあれどCGのフネはおおよそこのデザインに収斂していってます。
まさにUSCGはコーストガードの代名詞的存在なワケですが、それは歴史の古さと活動範囲の広大さに由来します。
そんなアメリカ沿岸警備隊とは一体どんな組織なのか?
答えは『合衆国法典』の中にあります。
§101. Establishment of Coast Guard
The Coast Guard, established January 28, 1915,
U.S.C. Title 14 – COAST GUARD (govinfo.gov)
shall be a military service and a branch of the armed forces of the United States at all times.
第1条【沿岸警備隊の設立】
1915年1月28日に設立された沿岸警備隊は、軍であり、常に合衆国軍の一部門を成す。
アメリカ沿岸警備隊の任務と根拠法 (ndl.go.jp)pdf
まずUSCGは自らの設立を1915年(大正4年)だと法律に明記しています。
その前年の1914年7月28日に第一次世界大戦が勃発。
そして1915年5月のルシタニア号事件によってアメリカ人が犠牲となり、同国の世論が参戦へと大きく傾いていったそんな時代。
従来の財務省の税関監視艇局および救命局を統合する形で発足したのが、ユナイテッド・ステイツ・コーストガードです。
ちなみに税関監視艇局(Revenue-Marine→Revenue Cutter Service)自体は1790年8月4日に誕生しており、この日が現代のUSCGにつながる発足記念日とされています。
その証拠にUSCGのシール(紋章)には、“SEMPER PARATUS“のラテン語とともに1790と書かれています。
この記念日を基準にすれば西暦2023年現在で233年!もの歴史があり、イギリスの王立沿岸警備隊結成より32年前の誕生と言えます。
(ただし組織名としてコーストガードと名乗ったのはイギリスの方が古い)
U.S. Coast Guard Facebook
さて。
USCGは歴史が古いだけではなく、その活動範囲も広大です。
本土から遠く隔たったグアムやサイパンはもとより、世界各地に活動拠点を置いています。
・アメリカ自治連邦区プエルトリコ(中米)
・アメリカ領サモア(太平洋諸島)
・日本(東アジア)
・シンガポール(東南アジア)
・バーレーン(中東)
・オランダ(ヨーロッパ)
意外と知られていませんが、日本の横田基地の中にも極東支部が置かれています。
このように歴史・活動範囲ともに他国の追随を許さない存在であるがゆえに「USCGこそがコーストガードの代名詞」というのも決して誇張表現ではないのです。
なお、
現代のUSCGの所属は次のようになっています。
第3条【沿岸警備隊が活動する省】
アメリカ沿岸警備隊の任務と根拠法 (ndl.go.jp)pdf
(a)総則
海軍の部局として活動する場合を除き、沿岸警備隊は、国土安全保障省の部局である。
第1条・第3条にあるように、USCGは軍隊として規定されています。
ただし発足の当初は財務省、
1967年4月1日~2003年4月30日は運輸省、
同年5月1日以降は国土安全保障省の所属として存続してきました。
戦時においては国防総省-海軍省の部局として活動しますが、平時においては法執行を主とする行政機関であることを忘れてはなりません。
(ただしベトナム戦争に派遣されるなどの実績はあります)
そんなUSCGのトップにリンダ・L・フェイガン大将(アドミラル)が就任したのは2022年6月1日のこと。
これは他の陸海空軍・海兵隊・宇宙軍にさきがけた女性長官の誕生でありました。
一方の日本では2023年3月にようやく中林久子:二等海上保安監(1佐・大佐に相当)がヘリ1機搭載大型巡視船の船長に就任したばかり。
海上保安庁はアメリカ沿岸警備隊をモデルとして発足していますが、こうした人事面においては隔たり大きいようです。
後半ブロックに
つづく
参考文献
『世界の海上保安機関の現状に関する調査研究報告書』
岩並秀一・大根潔 共著
書籍等 :: 世界の海上保安機関の現状に関する調査報告書 (xn--p8j1fc3cznsc6g4e.jp)
(公財)海上保安協会 発行
A4版 63頁 カラー画像付
公益財団法人海上保安協会では、海上保安活動の調査研究事業の一環として、岩並秀一氏(前海上保安庁長官)及び大根潔氏(元第三管区海上保安本部長)を研究員として迎え、「世界海上保安機関長官級会合」から得られた知見をもとに、両氏共著による「世界の海上保安機関の現状に関する調査研究報告書」を取りまとめました。
(うみまるショップHPより)
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