海上保安庁 運用司令最前線2026

キミも今日から海上保安庁長官!?


はじめに

大型巡視船の配備状況
(令和7年4月1日現在)

海上保安レポート2025より
(測量船等を除く図表)



世界有数のコーストガード機関、
日本・海上保安庁。

運用される船艇は大小様々な種類をすべて合わせて475隻(2026年4月1日現在)

それらの内、
特に大型の巡視船は全国の主要港に配備されており、しばしば一般公開も行われています。

皆さんもこうしたイベントに参加したことがあると思います。

そして、実際に触れてみて、
「巡視船って大きいなぁ、カッコいいなぁ✨」と感じられたのではないでしょうか。

また、冒頭の図表のように大型巡視船が日本全体に配備されているのは実に壮観です。


ところで。




一体なぜ大型巡視船は必要なのでしょうか?

その場所に配備されてる理由は何でしょうか?

今後の配備状況はどうなるのでしょうか?

…改めて考えてみると、
巡視船団の全体像については曖昧なままな気がするのです。


そして、
個々の巡視船を見学しても、
公式資料の図表を眺めても、
一般人である私たちには深い分析はなかなかできません。

しかし、
海上保安庁全体を見渡せる人物が一人います。

それが…、

海上保安庁長官 です!!


長官は庁務ちょうむ統理とうりし、職員を指揮監督する立場。

すなわち海保の最高責任者ならば、先ほどの疑問に対する答えを持っていそうな気がします。


ということで。

今回は長官の立場になって、
大型巡視船を総合的・全体的な見地から考えていきましょう。

そして、
そこから見える海上保安庁の過去・現在・未来とは。


さぁ、気分はまさに海上保安庁長官☆

海上保安庁・運用司令の最前線へようこそ!

増強整備計画と大型巡視船の構成

それではまず最初に現状を確認しておきます。

海上保安庁の船艇475隻の内、
海上犯罪の取締まりや海難救助に使用される大型巡視船が81隻。
(PLH型21隻+PL型60隻)

2026年5月現在、
大型巡視船のさらなる増強を進めており、より規格の大きい船も建造予定となっています。

海上保安庁のこうした計画は主として尖閣諸島周辺の領海警備に対応するもの。

くり返される中国海警局の領海侵入とその侵入時間の長期化などが問題となっているのです。

従来2019年頃(平成31年・令和元年)までは、尖閣領海警備に専従する全長100m未満の船を増やしつつ、全国から応援部隊を派遣して対応してきました。

しかし、
2020年(令和2年)2月のPLH33れいめいなどの登場を機に、海保船艇の陣容が大きく変わることになったのです。

~2019年頃までのおおよその大型巡視船構成(練習船を除く)
2026年5月現在の大型巡視船構成(練習船を除く)



以上、
大まかな現状を把握した上で、
今度は船型シリーズごとに配備状況と建造経緯を見ていきましょう。

先ほどの巡視船構成図の上から順番に7種類!

一般公開などで見学したあの船々は、日本全体の中でどんな位置づけなのか?を意識しながら読んでみてください☆

あきつしま・れいめい型(150m)

番号船名就役年配属替解役年
①PLH31初代しきしま1992
横浜
2018
鹿児島
2024
解役済
②PLH32あきつしま2013
横浜
③PLH33れいめい2020
鹿児島
④PLH34あかつき2021
鹿児島
⑤PLH35あさづき2021
石垣
⑥PLH312代目しきしま2025
鹿児島
2026
神戸
全長150m型巡視船

建造経緯とシリーズ概要

現時点において海上保安庁・最大型巡視船のシリーズ。

その象徴的存在とも言える【初代しきしま】は1992年(平成4年)の就役。

同年11月8日から翌年1月6日にかけて約60日・約2万海里(3万7040km)に及ぶ無寄港・無補給でのプルトニウム輸送船護衛のために建造されました。

※しきしま護衛航路については↓を参照のこと



その後、
しきしまの長大な航続能力を活かす形で、あきつしま型・れいめい型へと進化。

ただし建造時期が異なっているため船型としてはそれぞれ少しずつ異なっています。

しかし、海保最大という地位や船内非公開の運用思想は一貫しており、大まかに【しきしまシリーズ】と呼んでもよいのではないかと考えます。


2代目しきしま再配置が意味するもの


なお、
これまで初代しきしま・あきつしまのツートップ体制が続いてきましたが、れいめい型の登場により5隻体制が敷かれることになりました。

その配置場所も横浜か、あるいは鹿児島&石垣の2方面のみの集中配備。

ところがこれも2代目しきしまが神戸に配属替えになることによって、勢力バランスに変化が生じました。

つまり↓このような分散配置です。

南西配備本州配備
PLH33
れいめい(黎明)
・鹿児島
PLH32
あきつしま(秋津洲)
・横浜
PLH34
あかつき(暁)
・鹿児島
PLH31
しきしま(敷島)
・神戸
PLH35
あさづき(朝月夜)
・石垣


まず、
首都圏に直結する東京湾、そして海保本庁のお膝元に配備されている東日本のあきつしま

一方、
南西方面のれいめい・あかつき・あさづきは3隻一体で尖閣領海警備における総指揮船として機能しています。

そうすると神戸の2代目しきしまは、西日本における新たなフラッグシップと位置づけることができそうです。

すなわち、
あきつしま・しきしまで日本の東西を分担し、尖閣警備のかなめである残り3隻が専属・集中的に配備されているという勢力図。


以上を別の切り口からも検証してみましょう。


そもそも2代目しきしまはれいめい型4番船として建造されました。

しかし、なぜか船番号はPLH36ではなく、船名も「夜明け」が由来ではなかったのです。

私はこの理由を、単に初代しきしまの名声を引き継いだものと捉えていました。

しかし、今から考えてみると。

そもそも2代目しきしまあきつしまと並列して本州で展開する想定だったのでは。

だからこそ「日本の総称」の名前が付けられたのではないでしょうか。

実際、
同船の鹿児島就役から神戸異動までの滞在期間は一年にも満たないのです。


PLH31 2代目しきしま
2025年03月03日就役(鹿児島)

2026年01月29日配属替(神戸)



さらに考えてみると、
神戸港の対岸には関西空港があり、特殊警備隊(SST)基地もその近傍に所在。

同様に横浜には最寄り空港として羽田空港があり、空港敷地内に特殊救難隊の基地があります。

SST基地の所在については非公開となっている



こうした航空機・特殊部隊との連携の点からも、日本の東西を両船で分担する新体制が構築されたのではないかと考える次第です。




《参考動画》

【空撮】巡視船「あさづき」初入港映像記録【海上保安庁 第十一管区】 2021/12/02

しゅんこう型(140m)

番号船名就役年配属替解役年
①PLH42しゅんこう2020
鹿児島
②PLH43あさなぎ2023
鹿児島
③PLH44ゆみはり2023
鹿児島
④PLH45かんばい2026
鹿児島
全長140m型巡視船

建造経緯とシリーズ概要

海上保安庁巡視船、
第二位の大きさを誇るしゅんこう型

PLH33れいめい(全長150m)
PLH42しゅんこう(全長140m)
PLH201みやこ(全長120m)のワンセットで登場した新たな船型です。

建造の背景となったのは今から10年前、安倍総理の下で開催された【海上保安体制強化に関する関係閣僚会議】。

現在では【海上保安能力強化に関する~】と名称が変わっていますが、毎年12月に継続して開催されています。

海上保安体制強化に関する関係閣僚会議
議事録
平成28年(2016年)12月21日(第1回会議) 

【石井国土交通大臣】
(略)これらの状況に対し、海洋における法の支配を確立するため、海上保安庁の海上法執行能力、海洋監視能力及び海洋調査能力の3点の強化を図る必要があることから、本日ご議論いただいている方針案のとおり、尖閣領海警備体制の強化と大規模事案の同時発生に対応できる体制の整備等の5つを柱とする海上保安体制の強化が必要となっております。本方針を決定していただき、関係省庁のご協力を得ながら本方針に沿って、海上保安庁の能力・体制の強化をしっかりと進めてまいります。

関係閣僚会議の様子
(国土交通省HPより)
海上保安能力強化に関する関係閣僚会議

※石井啓一国土交通大臣は後に公明党幹事長、代表を歴任。

平成29年度 海上保安庁関係予算概要
2017年(平成29年)1月

(1)重大な事案に対する海上保安体制の強化
222.1億円(皆増)[28年度補正を加え 850.4億円]

「海上保安体制強化に関する方針」(平成28年12月21日関係閣僚会議決定)を受け、海上保安庁の法執行能力、海洋監視能力、海洋調査能力の3点の強化を図る観点から、「尖閣領海警備体制の強化と大規模事案の同時発生に対応できる体制の整備」等の5つを柱とする海上保安体制の強化を推進する。

平成29年度海上保安庁関係予算概要p16より一部抜粋
海上保安庁予算の概要|海上保安庁


ナンバーツー巡視船が担う役割

ふりかえってみると、
これまで巡視船№.2の地位を誇ってきたのは初代みずほ・やしま(全長130m)です。

特にPLH22やしまは観閲式において観閲官(国土交通大臣・海上保安庁長官)を乗せる観閲船でもありました。
・2008年(平成20年)創設60周年観閲式
・2018年(平成30年)創設70周年観閲式



これに替わって、
2025年秋に第10管区で行われたJCGクルーズ2025では、しゅんこう型2番船あさなぎが観閲船として使用されています。

さらにゲストとして招待されていた金子恭之かねこやすし議員が、国土交通大臣であったことから観閲式と同等のイベントとなりました。
(注;金子議員は元より海上保安議員連盟会長であり、第10管区が管轄する熊本県選出の衆議院議員。大臣就任以前からJCGクルーズに招待されていたものが、結果として大臣の立場で参加することになったものと推測。)

合わせて随行参加した瀬口良夫長官も迎えて、あさなぎはそのマストに大臣旗と長官旗を掲揚する栄誉に浴したのです。

海上保安庁公式X
2025年11月11日午前10:09

11月8日(土曜)、金子大臣は巡視船あさなぎに乗船し、第十管区主催のJCGクルーズ2025を視察しました。巡視船等を答礼により出迎え、訓練視察後、若手職員と懇談し、巡視船に乗船された方々に「海上保安庁の活動に対する理解を深めていただく一助となれば幸いです」と挨拶しました。

巡視船艇・航空機を答礼により出迎える金子大臣

管理人注;マスト左舷側に大臣旗、右舷側に長官旗が掲揚されている。大臣の右隣が瀬口良夫長官、左隣が大達弘明第十管区本部長。

https://x.com/JCG_koho/status/1988051298684481955?s=20
《参考》国土交通大臣旗
別の巡視船内で展示されていた実物
撮影許可確認済み
《参考》海上保安庁長官旗
別の巡視船内で展示されていた実物
撮影許可確認済み

そもそも、
しゅんこう型はスペックにおいてれいめい型に劣り、後述する2代目みずほ型とは違って国際航海はできません。

しかしながら船内を一般市民に開放できる運用であり、ヘリコプター2機をも搭載格納できる広い後甲板を持っています。

そうした点を活かして市民広報に大きく貢献できることは、目に見えない形で海上保安庁全体を支えているはずです。

はたして海上保安庁創設80周年となる2028年(令和10年)には一体どの船が観閲船として選ばれるのか?

ぜひ期待して待ちたいと思います。




《参考動画》

【海上保安庁】ドローン空撮 巡視船しゅんこう鹿児島初見参! 2020/06/05

2代目みずほ型(134m)

番号船名全長就役年配属替解役年
①PLH21初代みずほ130m1986
横浜
1991
名古屋
→ふそう2019
舞鶴
2024
解役済
②PLH22やしま130m1988
横浜
2013
福岡
③PLH412代目みずほ134m2019
名古屋
④PLH46
?
2代目やしま
?
134m
?
2027
年度
全長134m型巡視船ほか

建造経緯とシリーズ概要

初代みずほ型は元々、しきしま登場以前において海保最大だった船型です。

SAR条約
(1979年の海上における捜索及び救助に関する国際条約)に基づく、日米SAR協定への署名・発効に先行する形で建造されました。

具体的に言えば、
現在の排他的経済水域(200海里)をはるかに超える、広大な海域での海難救助を担当することになったため。

SAR区域及びSAR協定締結状況
『海上保安レポート2025』より
範囲海里キロメートル往復距離
領海12海里約22km24海里
約44km
暫定漁業水域

排他的経済水域
(EEZ)
200海里370.4km400海里
740.8km
日米SAR協定
捜索救助区域
最長距離
約1744海里約3230km約3488海里
約6460km
しきしま航路約2万海里約3万7040km


その担当すべき範囲の広大さは上の図のとおりですが、当然のことながら巡視船は現場に行って帰ってこなければなりません。

すなわち単純計算で担当範囲の2倍の距離。


そのため従来のそうや・つがる型を上回る航続能力を持つ巡視船が必要になった、というわけです。


2代目みずほが果たした国際連携業務

さて。
そうして生まれた1番船PLH21みずほは既に解役済みとなっており、現在では新船型PLH41みずほが2代目として活躍中。

しゅんこう型とは異なり国際航海が可能なため、マレーシアを訪問するなど国際連携にも従事しています。

海上保安庁との合同演習で戦略的関係を強化
2025年6月25日
海上保安庁の巡視船みずほとマレーシア海上法令執行庁の巡視船バンギは、両機関の戦略的協力の一環として、本日、船隊写真撮影を含む合同演習をセランゴール州沖で実施した。この演習は2025年6月23日(月)にみずほがクラン港クルーズターミナルに入港したことから始まった、マレーシア寄港任務の一環。

マレーシア海上法令執行庁 公式フェイスブック



一方、
2番船PLH22やしまも後継船への代替が計画されており、2027年度中には就役予定。

船型の詳細は不明ですが、おそらく2代目みずほと同型になるものと推測されます。

従って、第7管区フラッグシップとしての立場は変わらず、引き続き尖閣領海警備にも投入されると思われます。

ただし、鹿児島にしゅんこう型4隻がそろったことで、福岡のやしま(及び2代目やしま)が尖閣に派遣される頻度は減るのかもしれません。

むしろ目の前の韓国国境海域における警備救難に専念しつつ、2代目みずほと同様に国際連携に力を入れていくような分担となるのかも。

いずれにせよ、
しゅんこう型の登場・勢ぞろいがワンランク下の2代目みずほ型に及ぼす影響は未知数なので、これからも注目が必要となります。

PLH22やしま 海上保安庁70周年観閲式
2018年5月20日管理人撮影
特別観閲官として安倍総理が紅白の壇上に立っている。
並走するのはゲスト参加の護衛艦はたかぜ。




《参考動画》

海賊対策任務を終えた「みずほ」名古屋港に帰港【海上保安庁 第四管区】 2025/08/08

みやこ型(120m)

番号船名就役年配属替解役年
①PL201みやこ2020
中城
2022
宮古島
②PL202おおすみ2023
鹿児島
③PL203やえやま2024
石垣
④PL204あまみ2025
奄美
⑤PL205ごとう2025
長崎
⑥PL206だいとう2026
中城
⑦PL207ひろしま2026年度
⑧PL208するが2026年度
⑨PL2092028年度
⑩PL2102029年度
⑪PL2112029年度
全長120m型巡視船

シリーズ概要

みやこ型はヘリを搭載格納する機能はないものの、その大きさは後述するヘリコプター1機搭載型を上回っています。

4番船あまみまでは南西方面(第10・11管区)へ配備されていましたが、5番船ごとうで初めて少し離れた長崎(第7管区)への配備となりました。

その後の7番船ひろしま(広島湾)、8番船するが(駿河湾)も船名から察するに第6管区・第3管区への配備ではないかと予想されています。

さらにみやこ型は11番船までの建造が確定しているため、配備地域も日本海側・東北・北海道方面へと広がっていく可能性も。

ただその条件としてはこの全長120mの巨体を収められる岸壁が用意されていること。

そもそも1番船みやこは宮古島に新たな専用岸壁が完成するまでは、沖縄本島:中城を活動拠点としていたのです。

同様に、
長崎に配備されたごとうも大村湾外の小江こえ港に新しく民間から借り上げた岸壁が定係地。

おそらく広島県周辺に配備されるであろうひろしまにも、適当な岸壁を探すか構築するかしなければなりません。

当然のことながら大型船の新規建造を考えるとき、ワンセットで「どの港・どの岸壁でそれを運用するか?」を検討する必要があるのです。

巡視船の大型化と隻数増加は、実は日本各地の港湾事情に影響を及ぼす事柄でもある、という点は指摘しておきたいと思います。



みやこ型巡視船の自負

もう一つ大切なこととして。

地図を眺めてみたとき、みやこ型は長崎から石垣まで弧を描くように配備されています。

そのため、みやこ型の配置に尖閣対応の印象を強く感じられることでしょう。

もちろんそれは間違ってないのですが、他の通常業務も抱えていることを忘れてはなりません。


そのことはこのシリーズの船長らが異口同音に述べています。

国内最大級の船内披露/巡視船「みやこ」
市長ら招き船上で式典/宮古島海保

2022年4月27日(水)8:59

菊地船長は「宮古島を基地として活動できることをうれしく思う。尖閣諸島周辺海域の警戒が重要任務の一つだが、宮古島周辺海域の警備業務、救難業務にも取り組み、地域住民の安全・安心に貢献したい」とあいさつした。

国内最大級の船内披露/巡視船「みやこ」 – 宮古毎日新聞社ホームページ

インタビュー
巡視船と乗組員を共に育てる

巡視船「やえやま」船長 溝口直樹

巡視船「やえやま」の業務は尖閣周辺海域の警備が中心となり、業務はどうしても警備業務に偏ってしまうので、特に若い乗組員には「しっかりといろんな知識を身につけなさい」と指導しています。空いた時間には海技試験や資格取得のための勉強をすることを勧め、犯罪取締りや安全指導などの業務も本船では機会が少ないため、保安部で1週間程度、研修を実施させてもらうこともしています。

かいほジャーナル100号【特集】第十一管区海上保安本部 石垣海上保安部p8

尖閣諸島周辺の領海警備も
長崎海上保安部「巡視船ごとう」の船内を報道陣に公開
2025年11月19日(水) 19:53

巡視船「ごとう」船長・河本行弘さん
「尖閣へ行くことも想定はしていますけども、長崎海上保安部の巡視船ということですので、地域の役に立てるような巡視船になりたいなと思っております。」

尖閣諸島周辺の領海警備も 長崎海上保安部「巡視船ごとう」の船内を報道陣に公開 | TBS NEWS DIG

奇しくも、
1番船みやこと5番船ごとうの船長の抱負が一致しています。

同じく3番船やえやま船長も、幅広い業務知識・技能を磨くべきことを語っています。

つまり、
遥か遠方における領海警備にも従事しつつ、所属地域における通常事案もおろそかにはしない。

こうした点にみやこ型巡視船の立ち位置が窺えるとともに、乗組員たちの自負を感じるところです。




《参考動画》

巡視船「あまみ」が名瀬港に初入港!!(ドローン撮影)【海上保安庁 第十管区】 2025/04/30

そうや・つがる型

番号船名
全長
配属地就役年
配属替
運用年数解役年
①PLH01旧そうや
98.6m
釧路197847年
解役済
2025
解役済
②PLH02つがる函館197947年
③PLH03おおすみ
さがみ
鹿児島
横浜
1979
2019
47年
④PLH04うらが
はやと
うるま
横浜
鹿児島
那覇
1980
1997
2014
46年
⑤PLH05ざおう塩釜→宮城198244年
⑥PLH06ちくぜん
おきなわ
福岡
那覇
1983
2013
43年
⑦PLH07せっつ神戸
那覇
1984
2026
42年
⑧PLH08えちご新潟199036年
⑨PLH09りゅうきゅう11管本部
那覇
2000
2013
26年
⑩PLH10だいせん
舞鶴
2001
2008
25年
⑪PLH01新そうや
92.4m
釧路2025
⑫PLH??新さがみ?2027
年度
⑬PLH??新うるま?2029
年度
新旧ヘリコプター1機搭載型巡視船 2026年現在

建造経緯とシリーズ概要

PLH01から始まる、
ヘリコプター1機搭載型巡視船

ヘリを船上に搭載・格納しながら航行し、洋上での離発着を可能にした画期的な船型。

船舶が持つ長大な航続能力と、回転翼機の迅速性と広域監視能力を足し合わせた機能を持っています。

では一体なぜそうした巡視船が必要となったのでしょうか?

当時の複雑な経緯がありますので、ごく簡単に説明しておくと…。



端的に言えば、
日本が沿岸から200海里(370.4km)を暫定的に「漁業水域」と定めたためです。

時代は1970年代後半、
『国連海洋法条約』採択のための議論が第三次国連海洋法会議で続けられていた頃のこと。

世界各国では独自に領海を12海里、漁業水域または経済水域を200海里と定める立法手続きが進んでいました。

こうした世界的な潮流は【新海洋秩序の形成】と呼ばれ、日本もこれに対応するため国内法を制定。

それが『領海法』(旧領海法)と、
『漁業水域に関する暫定措置法』です。

領海法
1977年(昭和52年)7月1日 施行
1996年(平成8年)7月20日『領海及び接続水域に関する法律』に題名変更

第1条【領海の範囲】
1 我が国の領海は、基線からその外側12海里の線(中略)までの海域とする。

領海法 – 法令データベース

漁業水域に関する暫定措置法
1977年(昭和52年)7月01日 施行
1996年(平成08年)7月20日 廃止

第1条【趣旨】
この法律は、最近における新しい海洋秩序への国際社会の急速な歩みその他の漁業を取り巻く国際環境の著しい変化等に対処し、並びに水産資源の適切な保存及び管理を図るため、漁業水域における漁業等に関する管轄権の行使に関し必要な暫定措置を定めるものとする。


第3条【定義】
3 この法律において「漁業水域」とは、我が国の基線から、いずれの点をとつても我が国の基線上の最も近い点からの距離が200海里である線(中略)までの海域(領海及び政令で定める海域を除く。)をいう。

漁業水域に関する暫定措置法 – 法令データベース

従来、日本は国際慣習法に基づいて領海を3海里とする立場をとっていました。

しかし、上述の二法の制定により、一気に管轄する範囲が広がることに。

必然的に海上保安庁が対応すべき海域も広がったため、これに対応できるヘリ1機搭載型巡視船の建造が求められたというわけです。

ヘリコプターとう載型巡視船完成予想図
『海上保安白書 昭和52年版』1977年p140より

【補足】
1996年の国連海洋法条約の国内発効に合わせて二法は次のように変遷した。
・領海法→『領海及び接続水域に関する法律』

・漁業水域に関する暫定措置法→廃止
・排他的経済水域及び大陸棚に関する法律→施行




以上のような経緯を経て生まれたのが、1番船PLH01そうや(旧そうや)。

その特徴としては氷の海をも航海できる砕氷船という独特の形状を持っていたこと。

一方、
続くPLH02つがる以降は通常海域を想定したノーマルな船となっています。

従って、
そうや型とつがる型という別物と捉えるべきなのですが、“ヘリを搭載格納して航行する”という運用形態の点からここでは同一シリーズとして扱うこととします。




老朽船の代替計画

さて、
PLH10だいせんまで建造されたこのシリーズは、主に各管区におけるフラッグシップとして活躍してきました。

しかし、既に運用年数が40年を超え、あるいは超えつつあるものが半数以上を占めています。

そこで同名・同番号の新そうやが代替建造されたのを皮切りに、後続船も老朽化の進んだものから優先的に世代交代が計画されています。

現状、予想されているのはPLH03さがみ(横浜)とPLH04うるま(那覇)。

海保公式資料によれば、それぞれ2027年度(令和9年度)と2029年度(令和11年度)に代替船が完成予定となっています。



PLH03さがみ代替船?

令和6年度予算にかかる事業評価結果(令和6年3月)
巡視船艇整備事業 評価書

事業名 ヘリコプター1機搭載型巡視船(PLH型)1隻建造
整備期間 開始 令和6年度 完了 令和9年度
総事業費 約182億円

ホーム > 政策 > 評価 > その他施設費(個別公共事業評価)|海上保安庁



PLH04うるま代替船?

令和7年度予算概算要求にかかる事業評価結果(令和7年8月)
巡視船艇整備事業 評価書

事業名 ヘリコプター1機搭載型巡視船(PLH型)1隻建造
整備期間 開始 令和8年度 完了 令和11年度
総事業費 約189億円

ホーム > 政策 > 評価 > その他施設費(個別公共事業評価)|海上保安庁


※上掲資料では明確にさがみ・うるまの代替船だとは示されていない。ただし、掲載されている写真が各船であるため、その可能性が高いと推測される。


2種類の改みやこ型

それでは、
その代替船は一体どのような船型として誕生するのでしょうか?

まず先行建造された新そうやは砕氷機能を持った船として、独特のフォルムで設計されました。

一方、
PLH02~10までの代替船は“ヘリ1機搭載みやこ型巡視船”とでも言うべき姿が公表されています。


これを仮に改みやこ型と呼ぶことにしましょう。

そもそも、みやこ型にはヘリ甲板はあるものの、機体を整備するための格納庫は備えていませんでした。

したがってそのみやこ型に格納庫を加えた形状となっています。

ただし、
よーく見ていただきたいのは救命艇の有無について。

さがみ代替船?救命艇あり
うるま代替船?救命艇なし


このオレンジ色の救命艇は国際航海を行う巡視船に必須の装備。

したがって、これを欠いているうるま代替船(仮)は国際航海を行わない想定だと考えられます。

そうなると改みやこ型は以下の2種類に分かれるのではないでしょうか。


①改みやこ型(救命艇あり)
→国際航海船舶
各管区フラッグシップとして国際連携業務にも従事? 

②改みやこ型(救命艇なし)

→非国際航海船舶
尖閣領海警備専従船として機能?


なお、那覇海上保安部所属のPLH04うるまは2026年1月から神戸港に長期停泊中。

PLH07せっつは那覇海上保安部へ配属替えとなったものの、うるまに関する異動情報は発表されていません。

今後のうるまに関する動向が注目されます。


最後に補足として。
ラストナンバーPLH10だいせんの代替時期を予測しておきましょう。

おそらく運用年数40年に達する時期、今から15年後の2041年(令和23年)度頃ではないかと私は予想します。(2026年現在)


《参考動画》

巡視船「そうや」テーマソング 「羅針、その背に」【海上保安庁 第一管区】 2026/02/18

災害対応型巡視船 PL31いず 他

番号船名
全長
就役年配属替備考
PL21こじま
115m
1993
海保大(呉)
2024
海保校(舞鶴)
練習船
PL31いず
110m
1997
横浜
災害対応型
PL22みうら
115m
1998
海保校(舞鶴)
練習船
災害対応型
PL23いつくしま
134m
2024
海保大(呉)
練習船
PL11ふじ
134m
2026年度
(令和8年度)
国際業務対応・
練習船
PL??多目的巡視船
約200m
2029年度
(令和11年度)
注:練習船は海上保安部に所属し、そこから各校へ常時派遣されているという形式。

いずの建造経緯と練習船たち

海上保安白書 平成7年版

3 今後の防災への取組
(1)阪神・淡路大震災を踏まえた課題

③ 陸上交通に甚大な被害をもたらした今般の災害においては、海上からの緊急支援物資等の輸送が極めて有効であったが、現存の巡視船艇・航空機では、物資輸送・保管・提供機能等の能力、輸送路の安全確保のための水中の障害物、被害状況の調査能力等の不足が見られた。このため、海上アクセスの迅速な確保を図るための機能や輸送能力等を強化した装備を整備する必要がある。

『海上保安白書 平成7年版』平成7年(1995年)11月15日発行p28-30

1995年(平成7年)1月17日に発生した阪神・淡路大震災の教訓から生まれた巡視船PL31いず

海上からの支援機能を強化した災害対応型大型巡視船として建造されました。

1997年(平成9年)に横浜に配属されてから、一貫して東日本大震災や能登半島地震などの大規模災害時に投入。

直近の事例では2025年に台風被害を受けた東京都八丈島へ、給水支援と物資搬送を行っています。
(出典:国土交通省『令和7年台風第22号及び台風第23号による被害状況等について』

東京都 防災 公式X
2025年10月28日午後8:06

【令和7年台風第22号及び第23号への対応】
海上保安庁巡視船「いず」による給水支援の様子です。港で東京都水道局の給水車に水を移し替え、島内各地で給水支援を実施しています。引き続き町や関係機関と協力し、必要な支援を行ってまいります。

https://x.com/tokyo_bousai/status/1983128275003003176?s=20

しかし、
この災害対応型の船型は1998年に竣工したPL22みうらに引き継がれたのみで、その後は見当たりません。

そのみうらも基本的に海上保安学校の練習船であり、警備救難の前線に配備されているわけではないのです。



そう考えると、
災害対応型大型巡視船は事実上いずの一代限りといった状態が長く続いてきました。

実際にPL31いず以降のPL32、33、34…は存在しません。

ところが最近新たに注目すべき存在が現れたのです。

それが…、



いずと多目的巡視船をつなぐもの

\多 目 的 巡 視 船/

全長×型幅:約200m×約27.0m
総トン数:約31,000トン
速力:約15ノット
海上保安能力強化に関する関係閣僚会議
(令和6年12月20日)配布資料p8

今から3年後の令和11年度(2029年度)に竣工・引渡予定となっている多目的巡視船です。

全長約200m、
総トン数約3万1千トンという超巨大巡視船。

関係閣僚会議に提出された資料における実施業務は次のとおり。

〇 大規模災害(物資輸送、被災者支援等)
〇 有事における国民保護活動(住民避難等)
〇 その他、警備実施や領海警備等

これらのうち、
物資輸送や被災者支援といった災害対応はまさにいずが得意としてきた分野です。

と言うことは船型こそまったく異なるものの、その運用思想においては災害対応型いずの発展形とみなしてよいのではないでしょうか。


さらに言えば、もしかしたら多目的巡視船にはPL32番が割り振られるかもしれません。

いずれにせよ巡視船いずがこれまで蓄積してきた災害支援・被災者対応のノウハウは、確実に多目的巡視船へと継承されていくことでしょう。

約30年の時を経て、いずと多目的巡視船とをつなぐ一本の線が“海保の災害対応”という視点から見えてくるような気がします。


くにがみ型PL



くにがみ型の建造経緯とシリーズ概要

それではいよいよ最後となるくにがみ型について。

その前に、
ヘリ格納・搭載機能を持たない大型巡視船=PL型のラインナップは次のとおり。
・みやこ型
・いず
・こじま・みうら・いつくしま・ふじ
・多目的巡視船
・ひだ型
・あそ型
・くだか型
・はてるま(→だいせつ)型
くにがみ(→くにさき)型
・いわみ型


これらのうち現在23隻を数える最多シリーズがくにがみ型というわけです。

ただし、
その一番船PL09くにがみ中城なかぐすくから門司へ配属替えになったことにより、くにさきに船名変更。

一応、当ブログでは「くにがみ型」で統一します。

関門航路を往くPL09くにさき
管理人撮影

さて、
くにがみ型と言えば、なんと言っても石垣海上保安部の12隻。

2013年(平成25年)から整備の始まった尖閣領海警備専従体制が、第11管区・石垣海上保安部に確立されています。

平成25年度予算大臣折衝の結果
平成25年(2013年)1月27日 国土交通省

海上保安体制の強化
○ 昨今の尖閣諸島周辺海域における事態を踏まえ、領海警備に万全を期すため、早急に大型巡視船による専従体制を確立する等、海上保安体制を強化する必要がある。
○ このため、領海警備体制の強化等に必要な要員確保や補正予算等により着手している大型巡視船の建造等を、引き続き確実に推進するため、海上保安庁予算1,765億円を要求。
○ 折衝の結果、財務大臣より、要求どおり認められることとなった。

管理人注:太田昭宏 国土交通大臣(公明党)
麻生太郎 財務大臣(自民党)

報道発表資料:平成25年度予算 大臣折衝結果について – 国土交通省




この専従体制の整備の結果、
石垣海上保安部にはくにがみ型12隻が集められ、その内10隻が尖閣領海警備専従船として指定。

さらにその10隻は固定クルー船4隻と複数クルー船6隻とに分けられています。


複数クルー制のメリットは、乗員と船舶を柔軟に入れ替えて高い稼働率を維持できること。

そのため石垣港は同型巡視船が多数ひしめき合う壮観な眺めとなっているのです。

石垣市浜崎町岸壁を海上から撮影した風景
写真中央のPL203やえやま以外は全てくにがみ型巡視船
管理人撮影
4番船 PL82なぐら(20mm機関砲装備)
15番船 PL13もとぶ(30mm機関砲装備)
管理人撮影
8番船 PL86いけま→うらど
12番船 PL90いぜな
10番船 PL88とかしき
管理人撮影



各地で活躍するくにがみ型

ところで、
尖閣領海警備における印象が強いくにがみ型ですが、活躍の場所はここだけではありません。

第1管区の北海道から第7管区の北九州地域まで、残り11隻が幅広く展開しているのです。

特筆すべきは警備・救難どちらの業務にも適応しながら各地で運用されていること。

潜水指定船
→潜水士・潜水資機材を備える
救難強化巡視船

→潜水指定船のうち特殊海難等に対応する
警備実施等強化巡視船

→特別警備隊とその装備を備える


救難強化巡視船
潜水指定船
汎用警備実施等
強化巡視船
えさん(小樽)
えりも(釧路)
りしり(稚内)
ぶこう(横浜)
うらど(高知)
いまり(唐津)くにさき(門司)
おき(境)
えちぜん(敦賀)
つるが(敦賀)わかさ(舞鶴)
10
11たけとみ~いらぶ
(石垣)12隻
くにがみ型用途一覧 太文字は救難強化巡視船


例えば3管区の警備実施等強化巡視船(通称:特警船)として指定されているPL10ぶこう

同船には特別警備隊が編成されており、海上警備事案の際に使用する大盾やヘルメットなどが船内に用意されています。

その一方、
8管区の潜水指定船PL01おきPL92えちぜんには潜水班が編成され、潜水士たちが着用するウェットスーツやボンベなどがあります。

そもそも巡視船は特定の用途に特化した船というよりは、汎用性の高さを重視した船舶。

くにがみ型はその汎用性を基軸としながら、様々なバリエーション展開できるのが優れた点と言えるでしょう。



さらに言えば、
くにがみ型をベースとして建造された巡視船2隻がフィリピン沿岸警備隊に供与されています。

・MRRV-9701 テレサ・マグバヌア
・MRRV-9702 メルチョラ・アキノ


本来、くにがみ型は煙突1基ですが、供与船は煙突が左右2基に分割配置されているのが特徴。

従って厳密な意味ではくにがみ型とは別物と言えなくもないのですが…。

しかしフィリピン側は本船を“KUNI-GAMI class”として認識しているのです。

2025年4月29日、瀬口長官がテレサ・マグバヌアを訪船した際の様子。動画1:14~でPCG士官から”KUNIGAMI”という単語が聞き取れる。瀬口長官も「日本の巡視船と同じ。」と応答している。



このように日本・フィリピン両国の間に共通の単語が登場するのは感慨深いこと。

そして同型・類似の船であることは運航ノウハウの共有にもつながります。

加えて、
「我々は同じ船に乗っている」という連帯意識に象徴的な意味があると私は感じます。



《参考動画》

巡視船「つるが」就役・プロモーション動画を公開~敦賀海上保安部に配属~ 2020/06/08
※並列しているのはいわみ型PL75わかさ→のと。
PCG REPORTS: PINAKAMALAKING BARKO NG COAST GUARD, NAKARATING NA SA BANSA! (最大の沿岸警備隊船が国内に到着!)2022/02/28

まとめ

さて、それではここまで見てきた船艇勢力図を再び俯瞰してみましょう。

ヘリコプター2機を搭載格納できる大型巡視船が、横浜を起点として名古屋・神戸・福岡へと連なっています。
(※しきしまも2機搭載可能だが配備は1機のみ)

ただし、あきつしま・みずほ・しきしまは太平洋側への配備であり、日本海側に同型が存在しません。

とは言え、
太平洋側には日米SAR協定の担当海域が広がっているのであり、このことを考慮すると当然の配置だとも思われます。

一方、
南西方面に目を向けてみると、
鹿児島を起点に奄美大島・沖縄本島・宮古島・石垣島へと間断なく大型巡視船が配備されています。

PLH04うるまの今後の動静は不明


その中でも鹿児島・石垣は二大拠点として特に整備が進められてきました。

今後はおそらく沖縄本島(那覇・中城)を中心に、老朽船の代替やさらなる新造船の投入が予想されます。

また、2029年度(令和11年度)就役予定の多目的巡視船についても、台湾有事の懸念があることからやはりこの周辺を活動拠点とする可能性はあるでしょう。

ただし、その定係地となり得る港がどこになるのかはまだハッキリとはしていません。

おわりに



2016年(平成28年)に政府で第一回関係閣僚会議が行われてから、今年2026年(令和8年)でちょうど10年目。

幾たびもの国内外の情勢変化はありながら、一貫して大型巡視船の増強が続けられてきました。

その結果が現在の船艇構成につながっているのです。

2026年5月現在の大型巡視船構成



また、それ以前にも、
1970年代後半のそうや・つがる、
1980年代のみずほ・やしま、
1990年代のしきしま・いず建造にはすべて大きな歴史的背景がありました。
(新海洋秩序の形成、SAR条約締結、プルトニウム護送、阪神淡路大震災…)


今回、
大型巡視船の最新状況を中心に紹介しましたが、合わせて過去から続く海保の業務についてもご理解いただけたかと思います。

まさに巡視船は時代を映す鏡!

そう考えてみると、
海上保安庁船艇・計475隻を運用していくことの壮大さを改めて感じずにはいられません。


そして、今、
もし自分が海上保安庁長官になったら―。

きっと以前よりも、
深く、広く“海上保安の現場”のことを思い描きながら、海保の未来を考えられるようになっているはずです。


海上保安庁創設80周年となる2028年。
(令和10年)


そして、
注目の多目的巡視船が就役の2029年。
(令和11年)


私も皆さんとともに、海上保安庁の行く末を見届けていきたいと思ってます。


海上保安庁
運用司令最前線2026

《おわり》





歴史年表&参考動画

月日できごと
1977
S52
07.01旧領海法 施行
漁業水域に関する暫定措置法 施行
1978
S53
11.22PLH01そうや就役
1986
S61
03.19
12.12
PLH21みずほ就役
日米SAR協定締結
1992
H4
04.08
11.08
PLH31しきしま就役
プルトニウム護送
~翌年01.06
1995
H7
01.17阪神・淡路大震災
1996
H8
07.20国連海洋法条約 国内発効
1997
H9
09.25PL31いず就役
2012
H24
09.11尖閣諸島国有化
2013
H25
11.28PLH32あきつしま就役
2016
H28
12.21第一回
海上保安体制強化に関する関係閣僚会議
2019
R1
08.22PLH41みずほ就役(2代目
2020
R2
02.04
02.19
02.20
PLH42しゅんこう就役
PLH33れいめい就役
PLH201みやこ就役
2025
R7
03.03
12.19
PLH31しきしま就役(2代目)
PLH01そうや就役(新)
2026
R8
01.29しきしま神戸へ配属替え
海上保安庁公式YouTubeチャンネル『【海上保安庁】海上保安制度70年の歩み』2018/06/15

領海・EEZ関係法令

領海法
1977年(昭和52年)7月1日 施行
1996年(平成8年)7月20日『領海及び接続水域に関する法律』に題名変更

第1条【領海の範囲】
1 我が国の領海は、基線からその外側12海里の線(中略)までの海域とする。

領海法 – 法令データベース

漁業水域に関する暫定措置法
1977年(昭和52年)7月01日 施行
1996年(平成08年)7月20日 廃止

第1条【趣旨】
この法律は、最近における新しい海洋秩序への国際社会の急速な歩みその他の漁業を取り巻く国際環境の著しい変化等に対処し、並びに水産資源の適切な保存及び管理を図るため、漁業水域における漁業等に関する管轄権の行使に関し必要な暫定措置を定めるものとする。


第3条【定義】
3 この法律において「漁業水域」とは、我が国の基線から、いずれの点をとつても我が国の基線上の最も近い点からの距離が200海里である線(中略)までの海域(領海及び政令で定める海域を除く。)をいう。

漁業水域に関する暫定措置法 – 法令データベース

海洋法に関する国際連合条約
UNITED NATIONS CONVENTION ON THE LAW OF THE SEA
1983年(昭和58年)2月07日 日本署名
1996年(平成08年)7月20日 日本国内発効

第3条【領海の幅】
いずれの国も、この条約の定めるところにより決定される基線から測定して12海里を超えない範囲でその領海の幅を定める権利を有する。

第57条【排他的経済水域の幅】
排他的経済水域は、領海の幅を測定するための基線から200海里を超えて拡張してはならない。

第111条【追跡権】
1 沿岸国の権限のある当局は、外国船舶が自国の法令に違反したと信ずるに足りる十分な理由があるときは、当該外国船舶の追跡を行うことができる。この追跡は、外国船舶又はそのボートが追跡国の内水、群島水域、領海又は接続水域にある時に開始しなければならず、また、中断されない限り、領海又は接続水域の外において引き続き行うことができる。領海又は接続水域にある外国船舶が停船命令を受ける時に、その命令を発する船舶も同様に領海又は接続水域にあることは必要でない。外国船舶が第33条に定める接続水域にあるときは、追跡は、当該接続水域の設定によって保護しようとする権利の侵害があった場合に限り、行うことができる。

海洋法に関する国際連合条約 | 外務省

領海及び接続水域に関する法律
1996年(平成8年)7月20日『領海法』から題名変更・一部改正

第1条【領海の範囲】
我が国の領海は、基線からその外側12海里の線(中略)までの海域とする。

第3条【内水又は領海からの追跡に関する我が国の法令の適用】
我が国の内水又は領海から行われる国連海洋法条約第111条に定めるところによる追跡に係る我が国の公務員の職務の執行及びこれを妨げる行為については、我が国の法令を適用する。

領海及び接続水域に関する法律 | e-Gov 法令検索

排他的経済水域及び大陸棚に関する法律
1996年(平成8年)7月20日 施行

第1条【排他的経済水域】
1 我が国が海洋法に関する国際連合条約に定めるところにより国連海洋法条約第五部に規定する沿岸国の主権的権利その他の権利を行使する水域として、排他的経済水域を設ける。
2 前項の排他的経済水域は、我が国の基線から、いずれの点をとっても我が国の基線上の最も近い点からの距離が200海里である線(中略)までの海域(領海を除く。)並びにその海底及びその下とする。


附則
第1条【施行期日】
この法律は、国連海洋法条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。


第3条【漁業水域に関する暫定措置法の廃止】
漁業水域に関する暫定措置法は、廃止する。

排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律 – 法令データベース

参考資料

今回の記事を執筆するに当たり参考とした資料をご紹介いたします。

いずれも定期的な情報のアップデートや考察のきっかけに欠かせない良書です。

こうした出版文化の末永い存続のためにも、ぜひご購入をお願いいたします。


①海人社
世界の艦船 海上保安庁PLH発達史』
2024年8月号増刊 →公式HPへ


②海人社
『世界の艦船 特集・海上保安庁の75年』
2023年11月特大号 →公式HPへ


③イカロス出版
『J Ships 2021年04月号』
・海上保安庁特集 PLHの力


④イカロス出版
『J Ships 2021年06月号』
・海上保安庁特集 PLの力


「海上保安庁船艇・航空機ガイド」制作委員会
『海上保安庁 船艇・航空機ガイド2025-26』

コメント

タイトルとURLをコピーしました