船の世界は陸上とは異なる点が多いです。
船の性能をよく知るための単位について調べてみました。
航海速力 ~ノット~
ノット (knot 記号: kn, kt)は、速さの単位であり、1ノットは1時間に1海里 (1852 m) 進む速さである。
ノット – Wikipedia
ノットは現在も船舶や航空機の速度をあらわす単位としてよく用いられている。
これは海図上や航空図上で距離を測るには緯度1分に相当する海里を用いて計算するほうが容易であり、したがって速度もノットを用いる方が便利であるためである。
前回は【海里】について学んだので、
次は速度の単位【ノット】について。
これはわかりやすいですね。
つまり時速1.852km=1ノット。
時速10km=5ノット
時速20km=11ノット
時速30km=16ノット
時速37km=20ノット
時速40km=22ノット
時速46km=25ノット
時速50km=27ノット
時速56km=30ノット
時速60km=32ノット
時速65km=35ノット
時速70km=38ノット
時速74km=40ノット
時速80km=43ノット
(小数点第1位四捨五入)
【しきしま】の航海速力は25ノット以上とされています。
ということは時速46km以上。
車が一般道を走るときの時速がこれくらいですから、あの巨体でこの速さは速い。
…のかな?
(;・∀・)?
速いフネいろいろ
そもそも、
速い船って時速何kmで航行するものなんでしょうか?
速い船…、
ってことで私がパッと思いつくのは【ジェットフォイル】。日本各地の離島航路に使われている旅客用水中翼船です。
東京~大島、新潟~佐渡、鹿児島~屋久島を結ぶ航路などがあります。
あとは【競艇用ボート】。
実際に競艇場に行ったことがなくても、テレビCMなどで水面を疾走する姿は観たことがありますよね。
ちなみにボートの船体そのものは全部ヤマハ製で、諸元もすべて同じなんだそうです。
最後に【不審船】&【工作船】!
日本海沿岸に出没し、海上保安庁・海上自衛隊の停船命令に抵抗してきた船です。
【能登半島沖不審船事案】
第9管区海上保安本部HPより
平成11年(1999年)3月23日、能登半島沖の不審な漁船に関する情報を海上自衛隊から入手し、巡視船艇、航空機により不審船2隻を追跡、停船命令を発しましたが、これを無視して逃走し続けたため、巡視船により威嚇射撃を実施しました。
その後、海上自衛隊の海上警備行動が発動され、同自衛隊の護衛艦等とともに追跡を継続しましたが、不審船を捕捉するには至りませんでした。
九州南西海域における工作船事件について
-海上保安レポート2003-国境を守る海上保安庁 (mlit.go.jp)
平成13年(2001年)12月22日、海上保安庁は防衛庁から九州南西海域における不審船情報を入手し、直ちに巡視船・航空機を急行させ同船を捕捉すべく追尾を開始しました。
同船は巡視船・航空機による度重なる停船命令を無視し、ジグザク航行をするなどして逃走を続けたため、射撃警告の後、20ミリ機関砲による上空・海面への威嚇射撃及び威嚇のための船体射撃を行いました。
しかしながら、同船は引き続き逃走し、巡視船に対し自動小銃及びロケットランチャーによる攻撃を行ったため、巡視船による正当防衛射撃を実施し、その後同船は自爆用爆発物によるものと思われる爆発を起こして沈没しました。
これらの船々と巡視船の速度をまとめてみました。
なお、巡視船の要目については海人社『世界の艦船 2020.№933』を参考としています。また、巡視船の速度についてはすべて「~ノット以上」とされており、実際の速度は公表されていません。
高速の船々~時速55km以上~
番号 | 船名 | 特徴 | 全長 | ノット | 時速 | 竣工年 |
ジェットフォイル | 旅客用水中翼船 | 27.4m | 45 | 83km | ||
競艇用ボート | 2.895m | 43 | 80km | |||
PS201 | つるぎ | 高速特殊警備船 | 50m | 40 | 74km | 2001年 |
PC105 | はやぐも | 32m | 36 | 67km | 1999年 | |
不審船 | 1999年逃走 | 不明 | 35 | 65km | ||
PS05 | かむい | 46m | 35 | 65km | 1994年 | |
工作船 | 2001年自沈 | 29.68m | 33 | 61km | ||
PM21 | とから | 56m | 30 | 56km | 2003年 | |
CL34 | ゆめかぜ | 20m | 30 | 56km | 1994年 | |
PL41 | あそ | 高速高機能 | 79m | 30 | 56km | 2005年 |
PL51 | ひだ | ヘリ甲板付高速高機能 | 95m | 30 | 56km | 2006年 |
現在、
最高速を誇るのは【つるぎ型】巡視船です。
公表値ですら屈指の40ノットですが、
前掲の『世界の艦船』によれば50ノット(時速93km)超えの実力を披露した、とされています。
これはもう文句なく速い船!
と言っていいでしょう。
\(^o^)/カッコイイ!
この小型巡視船【つるぎ型】は、
高速大型船【あそ型】【ひだ型】とともに【不審船ユニット】を構成し不審船事案に対処するそうです。
そもそも、
こうした高速巡視船は【能登半島沖不審船事案】において、不審船を追尾できなかった反省から整備されたものです。
標準速度の船々~時速45km前後~
番号 | 船名 | 特徴 | 全長 | ノット | 時速 | 竣工年 |
PLH42 | しゅんこう | ヘリ2機搭載型 | 140m | 27 | 50km | 2020年 |
PLH33 | れいめい | ヘリ2機搭載型 | 150m | 27 | 50km | 2020年 |
PS31 | しもじ | 尖閣漁船対応船 | 43m | 25 | 46km | 2016年 |
PM51 | かとり | 2016年竣工 | 72m | 25 | 46km | 2016年 |
PL201 | みやこ | 120m | 25 | 46km | 2020年 | |
PLH31 | しきしま | ヘリ2機搭載型 | 150m | 25 | 46km | 1992年 |
PL81 | たけとみ | 尖閣領海警備専従船 | 96.6m | 23 | 43km | 2014年 |
PLH22 | やしま | ヘリ2機搭載型 | 130m | 23 | 43km | 1988年 |
PLH02 | つがる | ヘリ1機搭載型 | 105m | 23 | 43km | 1979年 |
次に時速45km前後のグループです。
【しきしま】~【しもじ】までの、ヘリ搭載型大型船から小型船まで多くの巡視船がこの範疇にあります。よって、このあたりの速度が巡視船としては標準的と言えるではないでしょうか。
そんな中で、
【しきしま】は長距離航海や船隊指揮の場面で活躍する船なので、むしろ十分な速度を有していると私は考えます。
低速度の船々~時速40km未満~
番号 | 船名 | 特徴 | 全長 | ノット | 時速 | 竣工年 |
PLH01 | そうや | ヘリ1機搭載型 | 98.6 | 21 | 39km | 1978年 |
PL31 | いず | 110m | 21 | 39km | 1997年 | |
PM08 | ちとせ | 1983年竣工 | 67.8m | 18 | 33km | 1983年 |
PM15 | てしお | 砕氷船 | 55m | 14.5 | 27km | 1995年 |
FL01 | ひりゆう | 消防船 | 35m | 14 | 26km | 1997年 |
これらのグループは「低速度」と表現しましたが、あくまで相対的な話です。船齢の古い船だったり、そもそも高速航行を目的としていない船たちなので。
特に消防船【ひりゆう】は高速よりも、安定した放水ができるよう独特の形をしています。
また【そうや】【てしお】は砕氷船として、この2隻にしかできない活躍の場面があります。
船足の遅い速いはあるけれど…
【しきしま】が生まれて約10年後の西暦2000年前後は、一連の不審船・工作船事件が発生しており世間を震撼させていました。こうした情勢を受けて高速巡視船の配備が進んだのです。
そのおかげか近年ではいわゆる不審船のニュースを聞くことは無くなりました。
(私が知らないだけで、今も海上保安庁が懸命に対処しているのかもしれません)
ウォータージェットで疾走する高速巡視船はシンプルにカッコイイです。
その一方で各自の持ち場で奮闘する巡視船たちがいて、日本の海が守られていることを思い出したいものですね。
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