令和5年(2023年)2月21日、
巡視船ゆみはり(PLH44)の進水式が行われました。
海保最大級の巡視船
「ゆみはり」が進水式
尖閣警備を強化へ沖縄県の尖閣諸島周辺の警備体制などを強化するため、海上保安庁に新たに配備されるヘリコプター搭載型の巡視船の進水式が山口県下関市の造船所で行われました。
「ゆみはり」は、ヘリコプターを2機搭載できる巡視船で、全長およそ140メートル、総トン数がおよそ6000トンで3年ほど前からおよそ173億円かけて建造されました。NHK福岡 NEWS WEB 02月21日 13時14分
海保最大級の巡視船「ゆみはり」が進水式 尖閣警備を強化へ |NHK 福岡のニュース
船名ゆみはりについて
このサイトで以前にご紹介していた、PLH44の船名がついに発表されました。
私がネットニュースでこの【ゆみはり】を知ったときの感想は…。
ゆみはりってなに?
(;´・ω・)
あ、もしかして、
ちんせつ…ゆみはりづき…?
↓
弓張月
↓
月
↓
秋の季語
Σ(゚Д゚)ハッ!
…という感じで連想したのですが、やっぱり由来は【弓張月】だったようです。
【先行】ヘリコプター搭載型巡視船進水
【先行】ヘリコプター搭載型巡視船進水/(22日付) / 山口新聞 電子版 (googleusercontent.com)
船名は「ゆみはり」。
秋の季語「弓張月」を由来とし、波乱を払い、乗組員が一丸となって困難を乗り越えていけるようにとの思いを込めた。
2023年02月21日 16時30分
「弓張月」とは簡単に言えば半月のこと。
半分に欠けた月を弦を張った弓の形になぞらえて、弦月とも言うようです。
マンガ『鬼滅の刃』ですっかりお馴染みになった、上弦の鬼・下弦の鬼とかのアレですね。
さらに名前だけは覚えていることの多い(?)『椿説弓張月』は、江戸時代に書かれたの物語のタイトルです。
作者は滝沢馬琴。
弓の名手である武将:源為朝の勧善懲悪ストーリーのようです。
…あとのくわしいことはWikipediaを読んでください。
(;^ω^)
このように【ゆみはり】には秋の意味のほかに、源為朝が弓矢で武勇をふるったような力強さが込められていると想像できますね。
山でも月でもなく
さて。
めでたく進水した【ゆみはり】ですが、現在のところまで海上保安庁本庁・第七管区本部から公式には船名由来が発表されていません。
(2023.03.11現在)
そのせいかTwitterでは由来を「弓張岳」にあるのではという意見も見られました。
弓張岳は長崎県の【佐世保海上保安部】の裏手の山で、港を一望できる展望台もあるようです。
(私も初めて知りました。)
実際、
【PLH05ざおう】
【PLH10だいせん】は山岳名から採られています。
しかし一番船【しゅんこう】からの連続性を考えると、やはり報道にある通り「秋」の意味で弓張月なんだろうなぁと思うのです。
PLH42
しゅんこう
春光
春の季語
PLH43
あさなぎ
朝凪
夏の季語
PLH44
ゆみはり
弓張月
秋の季語
それにしても意外だったのは、月の名前が使われたこと。
これって結構珍しいんですよね。
たとえば、従来からPC型巡視艇で【〇〇づき】というのはあります。
・きよづき 清滝山
・うらづき 浦河
・なごづき 名護
・やえづき 八重山
この場合、〇〇の方に意味があって、「~づき」の方は修飾語みたいな感じですね。
天体としての月は関係ありません。
あとは昔の【灯台見回り船】に「げっこう」月光がありましたが、これは光の方に重きが置かれている命名でしょう。
そういう意味で、巡視船に月の名前そのものが使われたのは初めてではないかと思います。
ちなみにまぎらわしいのは、
PS40みかづき、
PLH35あさづき。
これはそれぞれ三日月山という山、朝月夜という明け方の空の様子・時間帯が由来となっています。
以上、
色々述べましたが【ゆみはり】は下表の分類にしたがって、秋という季節が命名由来ということでよろしいかと思います
引き渡し時期と配属先
報道によると、
【ゆみはり】の完成は令和5年度中(2023年度)とされています。
私なりの「6000トン型の進水~引渡期間は9か月説」によると、おそらく今年の11月頃ではと思うのですが…。
11月ならちょうど秋ですしね。
さてどうでしょう?
先行の【あさなぎ】も海上公試が順調に進んでいるようですので、二隻の無事完成をお祈りするばかりです。
(´-ω-`)
番号 | 船名 | 全長 | 進水 | 引渡 | |
PLH 41 | みずほ | 134m | 2018. 11.09 | 2019. 08.22 | 9か月 後 |
PLH 42 | しゅん こう | 140m | 2019. 03.20 | 2020. 02.04 | 11か月 後 |
PLH 43 | あさなぎ | 140m | 2022. 06.30 | 2023. 4月? | |
PLH 44 | ゆみはり | 140m | 2023. 02.21 | 2023. 11月? | |
PLH 45 | ???? |
【ゆみはり】の配属先は未定。
ですが、
これまでの傾向から南西海域の鹿児島・那覇・宮古島・石垣のいずれかの海上保安部が順当なところかと思います。
でもそろそろ【福岡】の【PLH22やしま】の代替を考えてあげてもいいんじゃないかな?と余計な心配もしてしまいます。
なんせ【やしま】は1988年!(昭和63年)の建造ですからねぇ。
いやそれを言ったら、
やっぱり1980年(昭和55年)生まれの【PLH04うるま】の方がもっと心配か…。
これまた配属先がどこになるのか目が離せません。
4番船の名前について
前回、【あさなぎ】進水の際にはまだ未定だった4番船の建造が決まりました。
これで【しゅんこう型】は4隻体制となり、めでたく春夏秋冬をそろえることができそうです。
\(^o^)/やったね!
ただしその完成は令和8年度(2026年度)と、ずいぶん先の予定。
ということで、
今のうちに【PLH45】の船名をまた予想してみたいと思います。
これまで春夏秋…と来たので、
当然次は冬の季語。
そして今までのパターンでいくと、ひらがな4文字。
(もしくは4文字相当。)
・玄冥…水と冬を司る神の名前
・寒立…カモシカやウマが雪に耐え忍ぶ姿
…などなど考えてみましたが、
なかなか難しい!
そもそも冬って寒い!草木が枯れる!という季節なので、巡視船にふさわしいポジティブな言葉が少ないんですね。
(+_+)
まぁでも海上保安庁さんならきっと私が想像だにしない、良き名前を探し出してくれることでしょう!
余談:
個人的に気に入ったのは白姫。
冬を司る女神様のことだそうです。
(でも、お米とか果物の名前にありそう)
おわりに
令和の四季シリーズとでも呼べそうな【しゅんこう型】。
その船名由来となりそうな季語を調べていくうちに、その言葉の分だけ日本には豊かな自然があることに気づかされました。
これから生まれる巡視船たちには、この日本の美しい自然を守っていってほしいと思います。
当サイトは、
【しゅんこう型】巡視船を
今後も追いかけていきます!
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