初の海外開催となったCGGSⅣが閉幕しました。
会合に参加した国・しなかった国から国際情勢を読み解きます。
ローマで国際フォーラムが閉幕
2025年9月12日第4回世界海上保安機関長官級会合(CGGS)が本日ローマで閉幕しました。このサミットは、世界の海事関係者の注目を集める国際フォーラムの集大成であり、専門知識と経験の共有を通じて対話の促進、戦略の共有、そして海事分野におけるグローバルパートナーシップの強化を目的とした権威あるイベントの開催地として、ローマに集結しました。
(中略)
9月12日(金)は、世界サミット議長職がイタリア沿岸警備隊からインド沿岸警備隊に象徴的に引き継がれ、第5回CGGSを主催することとなりました。史上初めて、ヨーロッパの国がCGGSを主導。これは、イタリア沿岸警備隊が長年にわたり獲得してきた名声と信頼性を認めるものであり、世界中の沿岸警備隊の基準としての地位を確立し、国際海事の舞台でイタリアが主導的な役割を果たしていることを裏付けるものです。
Conclusi a Roma i Fora internazionali – Guardia Costiera
結果概要
| 開催 期間 | 国・ 地域 | CG 機関 | 国際 機関 | 開催場所 | |
| 第 1 回 | 2017(H29) 09.14 | 35 | 38 | 3 | ウェスティンホテル東京 目黒区三田 |
| 第 2 回 | 2019(R1) 11.20~11.21 | 75 | 76 | 8 | ヒルトン東京お台場 港区台場 |
| 第 3 回 | 2023(R5) 10.31~11.01 | 87 | 87 | 9 | ホテルニューオータニ 千代田区紀尾井町 |
| 第 4 回 | 2025(R7) 9.11~12 | 99 | 99 | 16 | コンベンションセンター ラ・ヌーヴォラ イタリア・ローマ |
| 第 5 回 | 2027(R9) | インド |
はじめに


右:イタリア沿岸警備隊
第4回 世界海上保安機関長官級会合(CGGSⅣ)が2025年(令和7年)9月11日~12日に開催されました。
これまで日本が議長国となって東京で行われてきましたが、今回はイタリア共和国(正式名称)の立候補によりローマで開催。
そして、会合は日本とイタリアの両長官による共同議長体制で進められました。

当サイトでは今回と過去3回の状況をふり返り、コーストガード機関の視点から現在の世界情勢を読み解きます。
さらに、今後も継続が予定されているCGGSの意義を考えてみました。
おことわり
以下に示す参加国一覧表は当サイト管理人が独自に作成したものです。
作成に当たっては、前掲の海上保安庁公式発表資料・別紙1・別紙2pdf及び『世界の海上保安機関の現状に関する調査研究報告書』を参考としました。
(以下、『報告書』と呼びます。)
『世界の海上保安機関の現状に関する調査研究報告書』
岩並秀一・大根潔 共著
書籍等 :: 世界の海上保安機関の現状に関する調査報告書 (xn--p8j1fc3cznsc6g4e.jp)
(公財)海上保安協会 発行
A4版 63頁 カラー画像付
公益財団法人海上保安協会では、海上保安活動の調査研究事業の一環として、岩並秀一氏(前海上保安庁長官)及び大根潔氏(元第三管区海上保安本部長)を研究員として迎え、「世界海上保安機関長官級会合」から得られた知見をもとに、両氏共著による「世界の海上保安機関の現状に関する調査研究報告書」を取りまとめました。
(うみまるショップHPより)
なお、
今回会合の公式略称は「CGGS2025」のようですが、当サイトではCGGS Ⅳ(シージー ジーエス フォー)と呼ぶこととします。
これは第一次世界大戦・第二次世界大戦をWWⅠ・Ⅱ(ワールドウォーワン・ツー)と略すのに倣いました。
次に、
参加国名等の邦訳については、公式資料に準拠しつつも当サイト管理人が一部修正しています。
(誤:コロモ沿岸警備隊→正:コモロ沿岸警備隊 など)
また、
「組織形態」の項目で軍事・国境・治安・警察・独立・調整とあるのは、『報告書』における分類を参考に表記したものです。
ただしCGGSⅢ以降の初参加国については、当サイト管理人が独自に判断し分類しています。
【組織形態の分類】
①軍事機関 傘下型「軍事」
軍事機関 本体または
その傘下の実働勢力を有する機関
②国境警備機関 傘下型「国境」
国境警備機関 本体または
その傘下の実働勢力を有する機関
③治安警察機関 傘下型「治安」
治安警察機関 本体または
その傘下の実働勢力を有する機関
④警察機関 傘下型「警察」
警察機関 本体または
その傘下の実働勢力を有する機関
⑤独立機関型「独立」
上部機関が実働勢力を有しない機関であって、
①~④の機関形態以外の機関
⑥調整機関型「調整」
他のCG機関間の調整を行うことを任務とする機関
最後に、
外国CG機関における職員の肩書きは様々ですが、組織のトップ・組織の№.2を長官・副長官と統一的に呼称することとします。
(例:中国海警局局長→中国海警局長官)
CGGS初参加の国
| № | 地域 | 参加機関名 | 組織 形態 | Ⅰ 2017 H29 | Ⅱ 2019 R1 | Ⅲ 2023 R5 | Ⅳ 2025 R7 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 南米 | ボリビア海軍 | 軍事 | 〇 | |||
| 2 | 南米 | ウルグアイ 国家海上保安機関 | 軍事 | 〇 | |||
| 3 | 大洋州 | パプアニューギニア 海上保安局 | 独立 | 〇 | |||
| 4 | 中東 | レバノン軍 | 軍事 | 〇 | |||
| 5 | 欧州 | アルバニア沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | |||
| 6 | 欧州 | ボスニア・ヘルツェゴビナ 保安省 | 国境 | 〇 | |||
| 7 | 欧州 | ブルガリア国家国境警備庁 | 国境 | 〇 | |||
| 8 | 欧州 | クロアチア沿岸警備隊 | 軍事 | 〇 | |||
| 9 | 欧州 | キプロス共和国法務省 | 独立 | 〇 | |||
| 10 | 欧州 | デンマーク海軍 | 軍事 | 〇 | |||
| 11 | 欧州 | フィンランド国境警備隊 | 国境 | 〇 | |||
| 12 | 欧州 | アイルランド沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | |||
| 13 | 欧州 | モナコ内務省警察局 | 警察 | 〇 | |||
| 14 | 欧州 | モンテネグロ 海上安全港湾管理局 | 独立 | 〇 | |||
| 15 | 欧州 | スロベニア海事局 | 独立 | 〇 | |||
| 16 | アフリカ | アンゴラ海事局 | 独立 | 〇 | |||
| 17 | アフリカ | コンゴ国防省 | 軍事 | 〇 | |||
| 18 | アフリカ | コートジボワール運輸省 | 独立 | 〇 | |||
| 19 | アフリカ | モーリタニア沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | |||
| 20 | アフリカ | モロッコ海軍 | 軍事 | 〇 | |||
| 21 | アフリカ | タンザニア海運代理店公社 | 独立 | 〇 | |||
| 22 | アフリカ | チュニジア海軍 | 軍事 | 〇 |
初参加国の傾向
最初は今回初めてCGGSに参加した国のご紹介から。
22ヵ国中、ヨーロッパから12ヵ国が初参加しており、次いでアフリカから7ヵ国となっています。
やはりアジアを離れて欧州開催であることが、これまで参加の難しかった国を促したのでしょう。
特に欧州圏ではアドリア海沿岸国の参加が目立ちます。
北から順に…
・スロベニア共和国
・クロアチア共和国
・ボスニア・ヘルツェゴビナ
・モンテネグロ
・アルバニア共和国


アドリア海そのものはあまり馴染みがありませんが、ジブリアニメ『紅の豚』の舞台となった場所として記憶している方もいるでしょう。
そしてクロアチアのドゥブロヴニク市は「アドリア海の真珠」と呼ばれるほどの美しい港町。
ここもジブリアニメ『魔女の宅急便』に登場する街並みのモデルとされています。
そして上記に挙げたバルカン半島西岸の国々は、イタリアとともにアドリア海を共有しており、組織形態や名称は異なるもののCG機関を通じて連携しています。
フィンランドとウクライナ侵攻
さて。
初参加国の中で私が特に注目しているのはフィンランド。
ロシアとの陸上国境を接する北欧の国ですが、軍事面においては中立的な政策をとってきていました。
しかし、2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻を受けて、同年5月にNATO(北大西洋条約機構)への加盟を申請。
そして、2023年4月4日に31番目の加盟国となりました。

仏: Organisation du traité de l’Atlantique nord

同様にスウェーデンも中立政策を転換して2022年5月にNATO加盟を申請、2024年3月7日に加盟を果たしています。
これによりNATOは32ヵ国体制となる強固な軍事同盟を築いています。(2025年12月現在)

ロシアの飛び地:カリーニングラード州がある
改めて、
隣国ロシアによる軍事行動が、いかにフィンランドに強い危機感を与えたかがわかります。
こうした動きに加えて、
フィンランド国境警備隊(Rajavartiolaitos)がCGGSに初参加したことは、軍事面を含めた総合的な海洋安全保障に関して国際的な連携と協力を求めた結果ではないかと私は考えています。

| 参加機関名 (NATO加盟年月日) | 組織 形態 | Ⅰ 2017 H29 | Ⅱ 2019 R1 | Ⅲ 2023 R5 | Ⅳ 2025 R7 |
|---|---|---|---|---|---|
| ノルウェー王立海軍沿岸警備隊 (1949.08.24) | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| デンマーク王立海軍 (1949.08.24) | 軍事 | 〇 | |||
| ポーランド国境警備隊 (1999.03.12) | 国境 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| エストニア警察国境警備隊 (2004.03.29) | 国境 | 〇 | 〇 | ||
| ラトビア国境警備隊 (2004.03.29) | 国境 | 〇 | 〇 | ||
| リトアニア国境警備隊 (2004.03.29) | 国境 | 〇 | 〇 | ||
| フィンランド国境警備隊 (2023.04.04) | 国境 | 〇 | |||
| スウェーデン沿岸警備隊 (2024.03.07) | 独立 | ||||
| ロシア連邦保安庁国境警備局 | 国境 | 〇 | 〇 |
ただし、CGGSは非軍事的な枠組みであり、国際条約などの法的拘束力を持つものではありません。
しかしながら、現状においてCGGSが海上保安分野における唯一の全世界的な連帯である点は今後ますます重要になってくるものと思われます。
ちなみにロシア連邦保安庁国境警備局は前回に引き続いて不参加でした。
余談:CG機関邦訳名について
①
南米ウルグアイから海軍の下部機関
「Prefectura Nacional Naval」について。

当サイトではこれまで「ウルグアイ沿岸警備府」と仮訳しましたが、今回海上保安庁からウルグアイ国家海上保安機関と公式翻訳が示されました。
今まで日本語文献に登場してこなかったCG機関に、一応の邦訳名が与えられることもCGGSの一つの意義であろうと思います。
②
…とは言いながら、頭を悩ませるのはパプアニューギニアの“National Maritime Safety Authority“。


右:パプアニューギニア海上保安局
これまで同国からはパプアニューギニア国防軍(国軍)が参加してきましたが、今回は別の文民機関がCG機関として登場しました。
問題はその機関名を海上保安庁は「パプアニューギニア海上保安庁」と訳していること。
この日本語訳について私は適当ではないと感じています。
まず、一般的に日本の〇〇庁に対応する英語訳は”Agency”とするのが通例であるため、逆に外国機関の”Authority”は〇〇局など適宜翻訳するのが妥当ではないでしょうか。
何より日本の固有機関名とパプアニューギニアの機関名が字面の上で混同しやすいように思います。
そこで当サイト管理人独自の判断により「パプアニューギニア海上保安局」と表記しています。
4回すべて参加した国
次にCGGSⅠから参加している常連国をみていきましょう。
| № | 地域 | 参加機関名 | 組織 形態 | Ⅰ 2017 H29 | Ⅱ 2019 R1 | Ⅲ 2023 R5 | Ⅳ 2025 R7 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 北米 | カナダ沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 2 | 北米 | アメリカ沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 3 | アジア | バングラデシュ沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 4 | アジア | 中国海警局 | 治安 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 5 | アジア | インド沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 6 | アジア | インドネシア海上保安機構 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 7 | アジア | 日本海上保安庁 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 8 | アジア | 韓国海洋警察庁 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 9 | アジア | マレーシア海上法令執行庁 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 10 | アジア | モルディブ国防軍沿岸警備隊 | 軍事 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 11 | アジア | パキスタン海上警備庁 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 12 | アジア | スリランカ沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 13 | アジア | ベトナム沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 14 | 大洋州 | オーストラリア国境警備隊 /海上国境司令部 | 国境 調整 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 15 | 大洋州 | ニュージーランド王立海軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 16 | 大洋州 | パラオ司法省 海上保安・魚類野生動物保護部 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 17 | 中東 | トルコ沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 18 | 欧州 | アゼルバイジャン国家国境庁 | 国境 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 19 | 欧州 | フランス海洋事務総局 | 調整 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 20 | 欧州 | ジョージア沿岸警備隊 | 国境 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 21 | 欧州 | ポルトガル海事局 | 軍事 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 21 | アフリカ | ナイジェリア海事安全庁 | 独立 調整 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
カナダ沿岸警備隊


右:カナダ国防省

過去3回議長国を務めた日本はもちろんのこと、アメリカ・カナダの北米2か国、中国・韓国・インドなどのアジア諸国が毎回参加。
共同議長国を務めたイタリアは第1回に参加していないので、皆勤賞は逃しています。
そもそも初の海外開催となる今回はカナダが議長国になるのではないかと私は予想していました。
というのも世界的会合となれば、自国の組織に運営能力と他国を集める信望がなくてはなりません。
その点、カナダ沿岸警備隊は1962年1月26日設立であり60年以上の実績を持ちます。
国際関係としてもカナダと鋭く対立する国は見受けられないため、中立的な立場から議長国としてふさわしいと思っていたのです。
しかし、CGGSⅣ開催の直前9月2日をもって、カナダ沿岸警備隊は国防省へ移管されました。
国防大臣からのメッセージ:
カナダ沿岸警備隊を歓迎します
2025年9月2日本日、カナダ沿岸警備隊(CCG)とカナダ水産海洋省の重要な職員を国防チームに迎えられることを光栄に思います。これは、CCGが長年築いてきた国の海洋利益と資源を保護する伝統を基盤とし、カナダを守るという私たちの共同の責任を深める、刺激的な新章の始まりを示しています。
Message from the Minister of National Defence: Welcoming the Canadian Coast Guard – Canada.ca
(中略)
CCGは引き続き文民の特別任務機関として機能します。CCGの人員や資産に武装させる計画も、組織内で追加の執行役割を組み込む計画もありません。CCGは、捜索救助、砕氷、環境保全と保護、安全な航行、海洋科学支援など、カナダ国民が依存する重要なサービスを提供し続けます。
ただし、国防省の傘下になっても業務は引き継がれ、文民組織としての性質も変わりありません。
直接にカナダ海軍の下に置かれるわけでもないため、CG機関としての分類も「独立型」のままです。
独立機関型CG機関の定義
上部機関が実働勢力を有しない機関であって、他の機関形態以外の機関
とは言え、
CCGにとって大きな変化であることは間違いなく、数年がかりの準備作業が必要だったと推測されます。
したがってCGGSを運営する余裕はなかったと思われ、それ故に議長国にならなかったのも当然と言えるでしょう。
中国海警局


右:2024年6月頃から使用しているエンブレム
話は変わって中国海警局について。
意外かもしれませんが、
中国海警局は第1回目からずっと参加しているCGGS常連国です。
尖閣諸島への領海侵入や、南シナ海でフィリピンに対する攻撃的な態度からすると、あたかも国際的な協調に全く関心がないかのように思われるかもしれません。
しかし、一つの事実として中国は日本が開催してきたCGGSⅠ~Ⅲに加えて、Ⅳに参加しています。
また、地域的枠組みであるアジア海上保安機関長官級会合にも参加していることは知っておく必要があります。

第20回アジア海上保安機関長官級会合(於:韓国)
前列右から4人目が中国代表と思われる
ただし、長官級会合と謳われる集まりに中国海警局のトップである郁 忠(いく ちゅう ユ・ゾン)長官の姿は見えません。
郁忠長官の就任は2022年12月頃とされていますが、少なくとも2023年CGGSⅢには欠席、2025年CGGSⅣにも長官は出席していないようです。

後方列中央緑色の制服人物が中国代表と思われる。
欧州連合 漁業水産委員会委員長 公式Xより
ちなみにCGGSⅢに出席したのは中国海警局の劉振(リュー・ジェン)副長官であり、今回CGGSⅣにも氏名不詳ながら組織高官らしき人物が出席しています。
さて。
それではこの中国海警局のCGGSに対する距離感をどう理解すればよいのでしょうか?
この点について興味深い証言がありますのでご紹介いたしましょう。
証言の元は渡邉 保範 第11代海上保安監。
海上保安大学校・海上保安協会の主催シンポジウムにおける講演の中で披露されたエピソードです。

海上保安大学校HHPより一部抜粋
渡邉 海上保安監(当時)が主催者側として出席したCGGSレセプション会場でのこと。
中国海警局高官から「私がここに派遣されているというメッセージをしっかりと受け取ってほしい。」という旨の発言があったそうです。
(渡邉氏の明言はないものの、おそらくCGGSⅢにおけるリュー・ジェン副長官の発言と推測される)
これは私の推測ですが、
中国海警局としても国際的な枠組みに関心は持っており、そのことを長官に準ずる地位の者を送り込むことによってアピールしたかったのではないでしょうか。
実際の行動についてはさておき、「国際社会に対して協調的である」という態度は示しておきたいという中国海警局の意図と願望が存在する。
…このことは認識しておく必要がありそうです。
【補足】
上記紹介した証言は私がシンポジウムを傍聴した際に聴き取ったものです。本講演のYouTubeライブ配信もありましたが、現在は公開されていません。講演記録の公表もされていないので、出典は私のメモのみとなります。
《証言元》2024年11月23日(土)
日本財団海上保安研究基金 令和6年度学術シンポジウム「海上保安における競合と協力~今日の国際環境といかに向き合うか~」
再参加機関
| № | 地域 | 参加機関名 | 組織 形態 | Ⅰ 2017 H29 | Ⅱ 2019 R1 | Ⅲ 2023 R5 | Ⅳ 2025 R7 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | アジア | ブルネイ王立警察隊 | 警察 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 2 | 大洋州 | マーシャル諸島警察局 | 警察 | 〇 | 〇 | ||
| 3 | 中東 | サウジアラビア国境警備隊 | 国境 | 〇 | 〇 | ||
| 4 | 欧州 | ドイツ連邦警察 | 警察 | 〇 | 〇 | ||
| 5 | アフリカ | モーリシャス警察隊: 国家沿岸警備隊 | 警察 | 〇 | 〇 |
ここでは、
CGGSⅢには不参加だったものの、
CGGSⅣで再び参加した機関をご紹介します。
ここでは特段大きなトピックスはありませんので、一点だけ指摘しておきます。
ドイツ連邦警察
今回、ドイツ連邦警察が再び参加しています。
2回目の出席となるため、あたかもドイツにおけるCG機関は警察傘下型機関単独のように思われるかもしれません。
しかし実態としては
Maritime SicherheitsZentrumと呼ばれる調整機関の下で、連邦警察・税関・連邦農業食品局・連邦水路海運局・ドイツ海軍・州水上警察などの実働部隊が運用されています。

したがって、ドイツの海上保安制度は本来調整機関型の体制に分類できるのですが…。
ただし、CGGSへの出席状況を考えると、その中心的存在はやはりドイツ連邦警察なのではと推測できます。
表面上は調整機関型であっても、内部の実働勢力の力関係は各国によって異なります。
そして、その微妙な力関係を窺い知れるのもCGGS開催とその研究の意義ではないかと考えます。
過去参加したが今回不参加の国
| № | 地域 | 参加機関名 | 組織 形態 | Ⅰ 2017 H29 | Ⅱ 2019 R1 | Ⅲ 2023 R5 | Ⅳ 2025 R7 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | アジア | カンボジア国家警察 | 警察 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 2 | アジア | ミャンマー海事局 | 独立 | 〇 | 〇 | ||
| 3 | 大洋州 | フィジー共和国海軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 4 | 欧州 | ロシア連邦保安庁 国境警備局 | 国境 | 〇 | 〇 | ||
| 5 | アフリカ | ジブチ沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 |
ここでは今回CGGSⅣには参加しなかった国の中から、特にロシアについて取り上げます。


右:ロシア連邦保安庁
改めて、
2022年(令和4年)2月24日以降のウクライナ戦争によって、ロシアは自ら国際的孤立に陥っています。
戦争は間もなく4年目を迎えようとしており、既に日本が経験した太平洋戦争の約3年9ヵ月を超えています。
とりあえず、
戦争勃発以降のロシア国境警備局と海上保安庁の関係をふりかえってみると…。
まず世界的会合であるCGGSⅢとⅣに不参加であることは既に述べた通り。
しかし地域的会合である北太平洋海上保安フォーラム(NPCGF)では少し状況が異なります。
そもそも北太平洋海上保安フォーラムは、北太平洋地域に位置する主要6カ国の海上保安機関の長が一堂に会する多国間の枠組みのこと。
(日本・米国・カナダ・韓国・中国・ロシア)
そのフォーラムにおける最近のロシアと中国の参加状況は次のとおりです。
| 回 | 日時 | 開催場所 (議長国) | ロシア出席者 | 中国出席者 |
|---|---|---|---|---|
| 23 | 2022年 (令和4年) 9月20~22日 | オンライン (韓国) | あり 出席者不明 | あり 出席者不明 |
| 23 | 2023年 (令和5年) 9月18~22日 | カナダ バンクーバー | なし | なし |
| 24 | 2024年 (令和6年) 9月23~26日 | 日本 東京 | なし | リュー・ジェン 副長官 |
| 25 | 2025年 (令和7年) 9月22~25 | 中国 上海 | ローマン・トロク 副長官 | ユ・ゾン 長官 |
| 26 | 2026年 (令和8年) | ロシア |
第24回 北太平洋海上保安フォーラムサミット
日本・東京
《写真左から》
①韓国海洋警察庁(キム・ジョンウク長官)
②カナダ沿岸警備隊(デレク・モス西部管区副局長)
③海上保安庁(瀬口 良夫長官)
④中国海警局(リュー・ジェン副長官)
⑤米国沿岸警備隊(アンドリュー・J・ティアンソン太平洋方面司令官)
第25回 北太平洋海上保安フォーラムサミット
中国・上海
《参加機関代表者》
海上保安庁(瀬口 良夫長官)
カナダ沿岸警備隊(マーク・メス副長官)
中国海警局(ユ・ゾン長官)
韓国海洋警察庁(キム・インチャン捜査局長)
米国沿岸警備隊(ジョセフ・バゼラ太平洋方面司令官)
ロシア国境警備局(ローマン・トロク副長官)
まず指摘すべき点として中国海警局のユ・ゾン長官が、自国開催での第25回フォーラムに(当然のことながら)出席しています。
そして、中国開催だからなのかロシア国境警備局も久々に参加。
さらに、この北太平洋海上保安フォーラムは構成各国による持ち回り方式で運営されているので、次回はロシアが議長国となる予定です。
その次回第26回への準備と引継を受けるためにも、久々に参加したのかもしれません。
いずれにせよ、
終わりが見えないウクライナ戦争の行方とともに、コーストガード界におけるロシアの動向についても注目が必要です。
議長総括にみるCG機関の定義
CG機関は何をなすべき存在か?
さて。
それでは今回のまとめに入っていきましょう。
私は以前、CGGSの開催意義について次のように述べました。
それでは各国バラバラの名称・業務内容の機関が一堂に集まる意義とは何なのでしょうか?
それは世界のCG機関がまさに今、
自分たちは何者なのか?
自分たちは何をなすべき存在なのか?
…というアイデンティティを模索する過程にあって、一つの方向性を見出すための場としてCGGSは機能している。と、このように私は考えます。
この問いに対する答えがCGGSⅣを通じてまとめられた文書『議長総括』に見え始めています。
まず先に「CG機関は何をなすべき存在か?」について。
第4回世界海上保安機関長官級会合議長総括
(仮訳)
2025年9月11日、12日、於イタリア・ローマ3 海上保安機関等の長は、海上における人命の安全の確保、船員の適切な生活と労働条件、遭難と災害対応の準備、海洋環境保全、水中インフラのサプライチェーンの回復力を高めることも目的とした交通監視の実施、そして国際海洋法を前提とした、海洋における法の支配に基づく海洋秩序の確保は、世界中の人々が安心して海を利用し様々な恩恵を享受するための不可欠な基盤であることを再確認した。
第4回世界海上保安機関長官級会合議長総括(仮訳)
ここで挙げられているのは次の6つ。
①海上における人命の安全の確保
②船員の適切な生活と労働条件(の確保)
③遭難と災害対応の準備
④海洋環境保全
⑤交通監視の実施
⑥法の支配に基づく海洋秩序の確保
これらを日本に当てはめてみると、②船員の生活と労働条件に関する措置は国土交通省海事局の所掌ではあるものの、それ以外はおおむね海上保安庁の業務となっています。
そもそもCG機関が実際に抱える業務内容は各国によって様々であり、統一的なルールはありません。
しかしながら上記の6点が「世界中の人々が安心して海を利用し様々な恩恵を享受するための不可欠な基盤であること」を99のCG機関長官が「再確認」しています。
これは言い換えれば、
CG機関の業務に関する共通認識が固まりつつある、ということを意味しています。
CG機関とは何者か?
そしてもう一つ、
「コーストガード機関とは何者なのか?」について。
第4回世界海上保安機関長官級会合議長総括
(仮訳)
2025年9月11日、12日、於イタリア・ローマ9 海上保安機関等の長は、世界長官級会合が今回の会合で数が急増したより多くの参加者と共に、グローバルかつ有用なプラットフォームとして更なる世界海上保安機関長官級会合の発展を歓迎し、これまで以上に機能的かつ持続可能なものとなったことを認識し、世界の海上保安機関間の連携・協力のプラットフォームとして引き続き有効に機能させていく必要性を確認した。
第4回世界海上保安機関長官級会合議長総括(仮訳)
加えて、the first responders and front-line actors たる海上保安機関等が直面する課題を克服し、Peaceful, Beautiful and Bountiful Seas を次世代に受け継ぐためには、海上部門における共通の行動理念への理解を深めるとともに、全世界の海上保安能力をfurther enhance させることが重要であること再認識した。
ここでは海上保安機関等(CG機関)を指して、
・First responders(初期対応に当たる者)
・Front-line actors(現場で活動する者)
…と表現されています。
ただし、カッコ内は当サイト管理人が独自に翻訳したものであり、海保公式ではありません。
いささか抽象度の高い表現であるため、少し検討を加えてみます。
まずファースト・レスポンダーは、主に救命救急や火災発生の場面で用いられる言葉。
救急隊員や消防士、警察官といった、市民生活における緊急事態に対して真っ先に対応する立場の人を指しています。
そうすると、
遥か洋上における救助活動や船舶火災に対応するCG機関の職員もまた、ファースト・レスポンダーに含めてよいと思われます。
次にフロントライン・アクターについては、事件事故の現場で機能する存在という意味が込められているように感じます。
さらにこの2つの概念を逆方向から考えてみると…。
ファースト・レスポンダーの反対は、
ラスト・レスポンダーと言うことができます。
これは事態終息に向けて最後に(または最後の手段として)投入される者と解されます。
具体的に言えば自衛隊員や諸外国における軍人のイメージ。
そして、
フロントライン・アクターの反対は、
バックライン・アクター。
後方にあって意思決定や管理運営、ネゴシエーション(交渉・折衝)を行う存在を指すと思われます。
これも究極的に言えば、国家の意思決定を行う政権中枢あるいは外交交渉を行う外務省がイメージされます。
以上のように理解すると、
ファースト・レスポンダーズ&
フロントライン・アクターズの意味もおぼろげながら見えてくるような気がします。
話を元に戻すと、
CG機関は海上における緊急事態の初期対応者であり、海洋活動の現場を担う存在なのだ…と議長総括は提示しています。
そして大切なことは、この自覚と使命が世界99ヵ国・99のCG機関の長官級による共通認識として文書にまとめられた点。
言わずもがな、
上記の「認識」は中国海警局も共有したことになっていますので。
もちろんこれは何ら法的拘束力などを持つものではありません。
しかし、これまで曖昧だった世界のコーストガード機関に対する一つの方向性が定まったことに重要な意義があると私は考えています。
おわりに
さて、初の海外開催となったCGGSⅣを参加・不参加など様々な角度から分析してみました。
前回の2023年からまだ2年しか経っていませんが、驚くほど世界は急速に不安定化の一途をたどっています。
特に民主主義や人権思想に替わって、権威主義や排外的な思考が人々の心を捉えるようになったこと。
国連や国際法の枠組みが無力に感じられるような凄惨な武力紛争も続いています。
そんな中でも「大阪万博2025」の開催期間中に示された世界の人々とのつながりは、我々に希望を見せてくれました。
そして、コーストガード機関という比較的新しく若い組織が、その連帯の規模を拡大させつつあることも一つの希望と捉えてよいと思います。
日本からイタリアへ、
そしてイタリアからインドへ。
さらにその先にコーストガード機関のどんな未来が待ち受けているのか。
これからも注目していきたいと思います。

世界海上保安機関長官級会合で読む
国際情勢2025
おわり
《前回の記事を読む》
参考動画
CGGS参加国一覧
| № | 地域 | 参加機関名 | 組織 形態 | Ⅰ 2017 H29 | Ⅱ 2019 R1 | Ⅲ 2023 R5 | Ⅳ 2025 R7 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 北米 | カナダ沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 2 | 北米 | アメリカ沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 3 | 中米 | バハマ国防軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| 4 | 中米 | コスタリカ沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 5 | 中米 | エルサルバドル海軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| 6 | 中米 | グアテマラ国防軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| 7 | 中米 | ハイチ海運課 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 8 | 中米 | ジャマイカ国防軍沿岸警備隊 | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| 9 | 中米 | メキシコ海軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 10 | 中米 | セントクリストファー・ネービス 国防軍沿岸警備隊 | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| 11 | 中米 | セントビンセント及び グレナディーン諸島警察沿岸警備隊 | 警察 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 12 | 中米 | トリニダード・トバゴ 国防軍沿岸警備隊 | 軍事 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 13 | 南米 | アルゼンチン沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 14 | 南米 | ボリビア海軍 | 軍事 | 〇 | |||
| 15 | 南米 | ブラジル海軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 16 | 南米 | チリ海軍海上領域商船総局 | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| 17 | 南米 | コロンビア海軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| 18 | 南米 | エクアドル海軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| 19 | 南米 | ガイアナ国防軍 | 軍事 | 〇 | |||
| 20 | 南米 | パラグアイ海軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| 21 | 南米 | ペルー港務沿岸警備総局 | 軍事 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 22 | 南米 | ウルグアイ国家海上保安機関 | 軍事 | 〇 | |||
| 23 | アジア | バングラデシュ沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 24 | アジア | 王立ブルネイ警察隊 | 警察 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 25 | アジア | カンボジア国家警察 | 警察 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 26 | アジア | 香港警察/海上部 | 警察 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 27 | アジア | 中国海警局 | 治安 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 28 | アジア | 中国海事局 | 独立 | 〇 | |||
| 29 | アジア | インド沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 30 | アジア | インドネシア海上航空警察 | 警察 | 〇 | |||
| 31 | アジア | インドネシア運輸省 海運総局警備救難局 | 独立 | 〇 | |||
| 32 | アジア | インドネシア海上保安機構 | 独立 調整 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 33 | アジア | 日本海上保安庁 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 34 | アジア | 韓国海洋警察庁 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 35 | アジア | ラオス公安省 | 独立 | 〇 | |||
| 36 | アジア | マレーシア海上法令執行庁 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 37 | アジア | モルディブ国防軍沿岸警備隊 | 軍事 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 38 | アジア | ミャンマー海事局 | 独立 | 〇 | 〇 | ||
| 39 | アジア | パキスタン海上警備庁 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 40 | アジア | フィリピン沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | ||
| 41 | アジア | シンガポール警察沿岸警備隊 | 警察 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 42 | アジア | シンガポール海事港湾管理局 | 独立 | 〇 | |||
| 43 | アジア | スリランカ沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 44 | アジア | タイ国家警察/海上警察部 | 警察 | 〇 | |||
| 45 | アジア | タイ海上法令執行司令センター | 調整 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 46 | アジア | タイ海事局 | 独立 | 〇 | |||
| 47 | アジア | 東ティモール国家警察: 海事警察ユニット | 警察 | 〇 | 〇 | ||
| 48 | アジア | ベトナム沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 49 | 大洋州 | オーストラリア国境警備隊 /海上国境司令部 | 国境 調整 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 50 | 大洋州 | クック諸島警察 | 警察 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 51 | 大洋州 | フィジー共和国海軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 52 | 大洋州 | キリバス警察隊 | 警察 | 〇 | 〇 | ||
| 53 | 大洋州 | マーシャル諸島警察局 | 警察 | 〇 | 〇 | ||
| 54 | 大洋州 | ミクロネシア連邦国家警察 | 警察 | 〇 | 〇 | ||
| 55 | 大洋州 | ナウル警察 | 警察 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 56 | 大洋州 | ニュージーランド王立海軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 57 | 大洋州 | ニウエ警察 | 警察 | 〇 | |||
| 58 | 大洋州 | パラオ司法省 海上保安・魚類野生動物保護部 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 59 | 大洋州 | パプアニューギニア国防軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| 60 | 大洋州 | パプアニューギニア海上保安庁 | 独立 | 〇 | |||
| 61 | 大洋州 | サモア警察 | 警察 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 62 | 大洋州 | トンガ王国軍 | 軍事 | 〇 | |||
| 63 | 大洋州 | ツバル警察 | 警察 | 〇 | |||
| 64 | 大洋州 | バヌアツ警察 | 警察 | 〇 | |||
| 65 | 中東 | バーレーン沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 66 | 中東 | イラン沿岸警備隊 | 国境 | 〇 | |||
| 67 | 中東 | ヨルダン海軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| 68 | 中東 | レバノン軍 | 軍事 | 〇 | |||
| 69 | 中東 | オマーン王立警察沿岸警備隊 | 警察 | 〇 | 〇 | ||
| 70 | 中東 | カタール沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | ||
| 71 | 中東 | サウジアラビア国境警備隊 | 国境 | 〇 | 〇 | ||
| 72 | 中東 | トルコ沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 73 | 欧州 | アルバニア沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | |||
| 74 | 欧州 | アゼルバイジャン国家国境庁 | 国境 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 75 | 欧州 | ベルギー沿岸警備隊 | 調整 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 76 | 欧州 | ボスニア・ヘルツェゴビナ保安省 | 国境 | 〇 | |||
| 77 | 欧州 | ブルガリア国家国境警備庁 | 国境 | 〇 | |||
| 78 | 欧州 | クロアチア沿岸警備隊 | 軍事 | 〇 | |||
| 79 | 欧州 | キプロス共和国法務省 | 独立 | 〇 | |||
| 80 | 欧州 | デンマーク王立海軍 | 軍事 | 〇 | |||
| 81 | 欧州 | エストニア警察国境警備隊 | 国境 | 〇 | 〇 | ||
| 82 | 欧州 | フィンランド国境警備隊 | 国境 | 〇 | |||
| 83 | 欧州 | フランス海洋事務総局 | 調整 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 84 | 欧州 | ジョージア沿岸警備隊 | 国境 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 85 | 欧州 | ドイツ連邦警察 | 警察 | 〇 | 〇 | ||
| 86 | 欧州 | ギリシャ沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 87 | 欧州 | アイスランド沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 88 | 欧州 | アイルランド沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | |||
| 89 | 欧州 | イタリア沿岸警備隊 | 軍事 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 90 | 欧州 | ラトビア国境警備隊 | 国境 | 〇 | 〇 | ||
| 91 | 欧州 | リトアニア国境警備隊 | 国境 | 〇 | 〇 | ||
| 92 | 欧州 | マルタ国軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| 93 | 欧州 | モナコ内務省警察局 | 警察 | 〇 | |||
| 94 | 欧州 | モンテネグロ海上安全港湾管理局 | 独立 | 〇 | |||
| 95 | 欧州 | オランダ沿岸警備隊 | 調整 | 〇 | 〇 | ||
| 96 | 欧州 | ノルウェー王立海軍沿岸警備隊 | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| 97 | 欧州 | ポーランド国境警備隊 | 国境 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 98 | 欧州 | ポルトガル海事局 | 軍事 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 99 | 欧州 | ルーマニア国境警察 | 国境 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 100 | 欧州 | ロシア連邦保安庁国境警備局 | 国境 | 〇 | 〇 | ||
| 101 | 欧州 | スロベニア海事局 | 独立 | 〇 | |||
| 102 | 欧州 | スペイン治安警察海上業務隊 | 治安 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 103 | 欧州 | ウクライナ国境警備隊 | 国境 | 〇 | 〇 | ||
| 104 | 欧州 | イギリス王立沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 105 | アフリカ | アルジェリア海軍沿岸警備局 | 軍事 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 106 | アフリカ | アンゴラ海事局 | 独立 | 〇 | |||
| 107 | アフリカ | ベナン海軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| 108 | アフリカ | カメルーン海軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| 109 | アフリカ | コモロ沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 110 | アフリカ | コンゴ国防省 | 軍事 | 〇 | |||
| 111 | アフリカ | コートジボワール運輸省 | 独立 | 〇 | |||
| 112 | アフリカ | ジブチ沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 113 | アフリカ | エジプト海軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | ||
| 114 | アフリカ | ガーナ海事局 | 独立 | 〇 | 〇 | ||
| 115 | アフリカ | ケニア沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 116 | アフリカ | ケニア海事局 | 独立 | 〇 | |||
| 117 | アフリカ | マダガスカル海軍 | 軍事 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 118 | アフリカ | モーリタニア沿岸警備隊 | 独立 | 〇 | |||
| 119 | アフリカ | モーリシャス警察隊: 国家沿岸警備隊 | 警察 | 〇 | 〇 | ||
| 120 | アフリカ | モロッコ海軍 | 軍事 | 〇 | |||
| 121 | アフリカ | ナイジェリア海事安全庁 | 独立 調整 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 122 | アフリカ | セネガル 海上安全・治安・海洋環境保護 調整担当高等庁 | 調整 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 123 | アフリカ | セーシェル国防軍沿岸警備隊 | 軍事 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 124 | アフリカ | シエラレオネ海事局 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 125 | アフリカ | ソマリア沿岸警備隊 | 警察 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 126 | アフリカ | 南アフリカ海上安全局 | 独立 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 127 | アフリカ | タンザニア海運代理店公社 | 独立 | 〇 | |||
| 128 | アフリカ | チュニジア海軍 | 軍事 | 〇 |
















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