四方を海に囲まれた島国・日本。
巡視船マップを通じてながめたときに、どんな姿が見えてくるでしょうか?
はじめに
海上保安庁にかかってきた1本の電話。
ただちに巡視船に乗り込む海上保安官。
船をつなぎとめていた舫が放たれ、
主機の始動とともに
「出航!」の号令が船内に響く―。
海上保安庁
緊急通報用電話番号
118番
↑の動画は2026年1月18日に公開された、海上保安庁118番のPV。
この動画で描かれているように、海上保安官は海上犯罪の取締まりや海難救助のために日夜出動しています。
そして彼らが向かう主たる“現場”は日本を取り囲む広大な海。
この海に乗り込んでいくためには、移動手段であり、それ自体が基地となる巡視船が欠かせません。
では、
その巡視船たちは普段どこにいるのでしょうか?
近所の方なら地元の港に巡視船が係留されているのを見たことがあるかもしれません。
しかし、お隣の県ではどうでしょう?
そして日本全体でどこに何隻いるかご存知ですか?
…ということで、
それを示したのがこちら!
\ 巡 視 船 マ ッ プ /
↑こちらをクリック!
巡視船マップの全体像

● 紫色 大型巡視船 PLH型
Patrol vessel Large with Helicopter
(長さ92.4~150m)
● 青色 大型巡視船 PL型
Patrol vessel Large
(長さ89.0~120m)
● 水色 中型巡視船 PM型
Patrol vessel Medium
(長さ56.0~72m)
● 緑色 小型巡視船 PS型
Patrol vessel Small
(長さ35.0~50m)
● 橙色 大型巡視艇 PC型
Patrol Craft
(長さ27.0~37m)
● 灰色 小型巡視艇 CL型
Craft Large
(長さ18.0~20m)
● 赤色 その他船艇(測量船・灯台見回り船など)
地図上の紫色のアイコンとその他の点々が、すべて海上保安庁の船艇の係留位置を示しています。
巡視船マップに掲載した船艇は計411隻。
(2026年1月18日現在)
CL型~PLH型(全長18m~150m)までの巡視船艇と、その他の消防船や測量船、灯台見回り船などを網羅しています。
詳細はぜひ実際に巡視船マップをぐりぐり動かしてみてください。
それでは今回は巡視船艇の分布とともに、海上保安官がどのような現場に急行しているのかをご紹介していきましょう。
巡視船マップで眺める2026年の日本の姿、
まずは北海道からスタートです☆
注:以下に掲載した巡視船艇の写真は、特にキャプションを付けたもの以外はすべて海上保安庁公式HPから引用しています。
第1管区海上保安本部

日本最北の地を守る第一管区海上保安本部。
管区本部は札幌近郊の港町:小樽市に所在しています。
北海道全域を管轄しており、太平洋、日本海、オホーツク海が担任水域。
隣国ロシアと最も近接する地域であると同時に、冬場は強風が吹き荒れ、流氷が押し寄せる厳しい自然環境にもあります。
そんな第1管区の特徴は2隻の砕氷型巡視船を擁していること!
2025年12月に就役した「シン・そうや」こと【PLH01そうや】は、同じ船名を引き継ぐ3代目として釧路の人々に愛されています。
同じく砕氷船として、知床半島の羅臼には【PM15てしお】もいます。
他方、
函館に配備されているヘリコプター1機搭載型巡視船【PLH02つがる】について。
2022年4月23日に発生した知床遊覧船沈没事故でのご遺体をロシア・サハリン州まで引き取りに行き、ご家族の元へ送り届けました。

改めて北海道がロシアと接する国境地域であること、厳しい気象・海象に襲われる地域であることを感じさせられます。
(注:同事故に関する刑事裁判第1回公判は2025年11月12日)
知床観光船事故
知床観光船事故から半年…遺体返還の“舞台裏”
なぜロシアからの返還に4か月もかかったのか?
2022年10月29日(土) 07:00■国後島に向かう船の問題も
知床観光船事故から半年…遺体返還の“舞台裏” なぜロシアからの返還に4か月もかかったのか? | TBS NEWS DIG (1ページ)
日ロの調整がまとまり、最終的に9月にサハリンまで遺体を引き取りに行った海保の巡視船「つがる」(PLH型、ヘリコプター搭載、3100トン)は、海保が保有する中で、国際航行が可能な最大級の船だ。国際条約(船舶バラスト水規制管理条約)で、国際航行するためには「グレイウォーター」と呼ばれる生活排水を浄化するための特殊な設備(タンク)が備わっていることが求められている。
■出航から約4時間…ロシア政府から届いた正式回答
サハリン到着までの航海中にロシア政府からの正式回答が来なければ、「つがる」はコルサコフ港に入れず洋上で待機しなければならない。そのためにも、水や燃料が不足する心配がなく、長期停泊が可能な大型巡視船「つがる」が選ばれたのだった。
第2管区海上保安本部

東北地方を管轄するのは第二管区海上保安本部。
宮城県仙台市から多賀城市を挟んで一つ隣の塩竃市が本部所在地です。
管轄区域は北から時計回りに、
青森県・岩手県・宮城県・福島県・山形県・秋田県の東北6県。
担任水域としては太平洋と日本海の両方にまたがり、それぞれの側から巡視船を派遣するには津軽海峡をぐるっと回航する必要があります。
そんな第2管区を東日本大震災が襲ったのは2011年3月11日のこと。
管区本部が所在する塩釜港湾合同庁舎から震源地までの直線距離は約160kmでした。
《参考》東京駅から約160km…
・北 :栃木県 那須塩原市
・南西:静岡県 藤枝市
・西 :長野県 松本市

この時、塩釜港にも津波が押し寄せ、
【PLH05ざおう】【PL06くりこま】が港内で漂流という事態に陥りました。
結果、くりこまは座礁し機関室に浸水。
ざおうは投錨によって座礁を回避するも、船体の一部が損傷しています。
ただし、他管区から駆けつけた船艇・航空機の力を借りて、2管本部はこの大震災に立ち向かいました。
東日本大震災 その時何が起こったか
1 二本部における津波対応概要港内を漂流する巡視船 管理人注:写真に写る3隻の船のうち…
忘るまじ東日本大震災 | 公益財団法人 海上保安協会
手 前:巡視船ざおう
真ん中:巡視船くりこま(煙突二本)
一番奥:民間船舶(船首をのぞかせている)
そして東日本大震災から13年後。
2024年1月1日16:10に発生した能登半島地震に対して、今度はざおうたちが救助に向かったのです。
2026年能登半島地震 救援急行図

↑この図は能登半島地震の翌日1月2日8:30頃における巡視船の位置を示したもの。
青森県の八戸海上保安部に配属替えとなり、くりこまから船名を変えた【PL06しもきた】が津軽海峡を抜けて能登半島に向かっている様子が写っています。
また、それを追いかけるようにざおうも下北半島沖を進みつつあるところ。
かつて他管区からの救援に助けられた2管区が、今度は他管区を助ける側になったのです。
このように、
一つの管区で大きな災害が発生しても全国から応援勢力が駆けつけ、しかもそれが波状的に続く。
これが海上保安庁という組織が持つ力なのです。
第3管区海上保安本部

第三管区海上保安本部は、
茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県、千葉県・東京都・神奈川県・山梨県・静岡県の9都県を管轄し、その沿岸水域を担任しています。
首都圏の物流網に直結する東京湾、
さらには日本の最東端:南鳥島や最南端:沖ノ鳥島までをカバー。
最も遠方の部署として小笠原諸島の父島に小笠原海上保安署が置かれ、巡視船【PS40みかづき】と【監視取締艇さざんくろす】がいます。

一方、
そんな広大なエリアを管轄する管区本部は横浜市に所在し、横浜海上保安部には大小様々な巡視船艇がそろっています。
特に市民の目を引くのはヘリコプター2機搭載型巡視船【PLH32あきつしま】。
海保最大級となる全長150mの巨体が、横浜赤レンガパークに船首を向けて停泊しています。
そのあきつしまを語る上で外せないエピソードとしては、現在の上皇・上皇后ご夫妻のパラオ巡幸に随行したこと。
(2015年4月8~9日)
現地ホテルにおいて十分な警備が確保できないため、巡視船あきつしまが”御宿”として使用されました。
加えて搭載ヘリコプターによる同国ペリリュー島への往復輸送も行っています。
そもそも「秋 津 洲」は”日本”を表す古き異称。
その船名と相まって、
まさに日本を代表する巡視船と言っても過言ではありません。
「あきつしま」大任終え帰港
[2015年04月27日(Mon)]「あきつしま」大任終え帰港-海上保安新聞 パラオで任務につく「あきつしま」と搭載ヘリ
皇后陛下お誕生日に際し(平成27年)
宮内記者会の質問に対する文書ご回答今年,陛下が長らく願っていらした南太平洋のパラオ御訪問が実現し,日本の委任統治下で1万余の将兵が散華したペリリュー島で,御一緒に日米の戦死者の霊に祈りを捧げることが出来たことは,忘れられない思い出です。
皇后陛下お誕生日に際し(平成27年) – 宮内庁
かつてサイパン島のスーサイド・クリフに立った時,3羽の白いアジサシがすぐ目の前の海上をゆっくりと渡る姿に息を呑んだことでしたが,この度も海上保安庁の船,「あきつしま」からヘリコプターでペリリュー島に向かう途中,眼下に,その時と同じ美しい鳥の姿を認め,亡くなった方々の御霊に接するようで胸が一杯になりました。
第4管区海上保安本部

岐阜県・愛知県・三重県を管轄する第四管区海上保安本部。
本部は名古屋市に所在し、これまで見てきた1~3管区に比べれば比較的狭い範囲を担任しています。
しかし、名古屋港を中心とする伊勢湾は船舶交通の輻輳海域であり、中京工業地帯は京浜、阪神と並ぶ日本三大工業地帯。
こうした臨海工業地域における工場火災などに備えて、消防機能強化型巡視艇が配備されていることも第4管区の特徴です。
そして、
全長134mという巡視船艇3番目の大きさを誇る【PLH41みずほ】。
先ほどのあきつしまは機密の高い運用がなされており、船内が一般に公開されることはありません。
これに対してみずほは船内の一般公開が可能で、市民を乗せて体験航海を行うこともあります。
さらには東南アジア諸国に派遣されて、現地のコーストガード機関との交流も行うなど。
直近の事例では2025年6月11日~7月12日にかけて、みずほがマレーシアに派遣されて周辺海域における海賊対策哨戒の任務に従事しました。
このように日本の巡視船が活躍するのは、なにも日本の沿岸だけとは限らないのです。

第5管区海上保安本部

第五管区海上保安本部は兵庫県南部と大阪府・和歌山県・徳島県・高知県を管轄しています。
少しわかりにくいのですが下図のとおり。
⇩

なお、
兵庫県の北部:豊岡市と美方郡(香美町・新温泉町)は第8管区エリア。
したがって兵庫県の日本海側に所在する【香美海上保安署】も8管に所属する部署です。
海上保安庁は陸地ではなく海を基準に区分けしているので、一つの県を二つの管区が管轄している…ということがあり得るのです。
さて、
本部所在地である神戸市には長らく【PLH07せっつ】がいましたが、2026年1月20日付けで那覇へ配属替えとなりました。

1986年3月3日に神戸海上保安部へ配属となって以来、ちょうど40年になろうとする直前での異動。
この約40年の歴史の間には、1995年1月17日の阪神・淡路大震災への対応やその後の復興に関わる活動がありました。
改めて考えてみると、
海上保安庁船艇の特徴は配属地域に根ざして活動すること。
巡視船は基本的に一般商船と同じ港湾・漁港を母港とし、地元にゆかりのある山河から船名を与えられます。
そのため、
巡視船せっつもまた旧国名「摂津国」を由来としており、神戸の港や第5管区の海とともに歴史を刻んできました。
今回の配属替えに当たって船名変更は発表されていないので、おそらく解役の日まで本船は“せっつ”のままであり続けるのでしょう。
第5管区でのこれまでの功績に敬意を表するとともに、新任地での活躍を祈念する次第です。
コラム
10年間の秘めた願いを叶えませんか
~巡視船「せっつ」で結婚式~▲新郎新婦の入場 10年前に、第五管区海上保安本部(兵庫県)が所在する神戸市で発生した阪神・淡路大震災。平成17年は、その震災から10年という区切りの年を迎え、神戸市内では「震災10年神戸からの発信」として数々のイベントが実施されました。
海上保安レポート 2006年版 / 10年間の秘めた願いを叶えませんか ~巡視船「せっつ」で結婚式~
(中略)
7月17日(日)の「JCG大阪湾海上総合訓練」の際に、一般見学者が乗船する巡視船「せっつ」の船上で結婚式を実施することとして、(社)神戸港振興協会の協力を得て募集したところ、震災で式場が全壊し、その後も日々の生活に追われて挙式の機会を失ったまま現在に至っているという神戸市内在住のご夫婦から応募がありました。
(中略)
本番当日、海上保安学校音楽隊がこの日のために編曲したメンデルスゾーンの結婚行進曲を演奏するなか、新郎新婦が入場し、巡視船「せっつ」船長からご夫婦にお祝いの言葉を添えて結婚証明書が手渡されました。
第6管区海上保安本部

岡山県、広島県、山口県東部、香川県、愛媛県を管轄するのは第六管区海上保安本部。
瀬戸内海の大部分と愛媛県の宇和海を担任水域としています。
ここでは海上保安大学校の練習船【PL23いつくしま】を除けば、PC型やCL型の巡視艇たちが中心的存在です。
というのも、
第6管区の担任水域は全国で最も狭いものの、逆にその狭隘な瀬戸内海航路に多くの船舶が行き交っているため。
つまり他管区とは異なり、大型船よりも機動力に優れる小型艇の方が活躍できるのです。
では、その瀬戸内海の狭さをビジュアル的に見ていきましょう。
↓こちらは関西方面から見た瀬戸内海の巡視船マップです。

⇩

地図の西を上にして眺めてみると、
瀬戸内海が狭い海路であり、多くの島々が点在していることがわかるかと思います。
そして、しまなみ海道の今治側には日本三大急潮流の一つ来島海峡が存在します。
つまり、
こうした海上交通の難所、船舶輻輳海域をカバーするため、両岸から対になるように海上保安部・海上保安署が配置されているのです。
近年【海上保安能力の強化】についてよく取り沙汰されますが、海上保安の力は大型巡視船の保有だけを意味するのではありません。
小型の巡視船艇たちも海上保安の力なのであり、その活躍によって日本の海が守られているのです。
第7管区海上保安本部

福岡県北九州市門司区に本部を置く第七管区海上保安本部。
山口県西部と、福岡県・佐賀県・長崎県・大分県の九州北半分を管轄しています。
この内、
山口県も東西を二つの管区で管轄しているのが特徴。
山口市までが第6管区、
萩市、美祢市、宇部市から西が第7管区の範囲となっています。
徳山海上保安部(周南市)…6管
宇部海上保安署(宇部市)…7管
島根県↗
広島県→
元々、
第7管区は九州の南も管轄していたのですが、1962年1月1日にここを第10管区として分割独立させました。
さらにその10年後、1972年5月15日の沖縄返還によって第11管区が設立。
この経緯があるため北から見てきた1管・2管…の流れは、ここで折り返して8管・9管の日本海側へ続く形になっているのです。
それはさておき。
今も昔も変わらない第7管区の地理的特性は韓国に最も近いこと。

長崎県の対馬市 上対馬町 比田勝に置かれた【比田勝海上保安署】。
そこから韓国海洋警察庁【釜山海洋警察署】までは約59km。
管区本部や福岡海上保安部よりもはるかに近い距離で接しています。
ここには全長30mの大型巡視艇2隻が配備され、主に国境警備・密漁対策の任務に従事。
その一つ後方の拠点:厳原港には【対馬海上保安部】が、小型巡視船2隻と大型巡視艇1隻を擁しています。
さらにその背後の博多港【福岡海上保安部】には【PLH22やしま】などの大型巡視船が控えている…という陣容です。
ただし、
忘れないでほしいのは釜山港と日本側の港が国際フェリー航路で結ばれていること。
釜山港⇔比田勝港
釜山港⇔厳原港
釜山港⇔博多港
釜山港⇔下関港
釜山港⇔大阪港
人や物を運ぶフェリーが多く行き交うということは、そこは船舶が輻輳する航路であることを意味しています。
当然に海難救助を必要とする場面も想定され、そのためにも警戒監視の必要があることも見落としてはならないでしょう。
第8管区海上保安本部

島根県・鳥取県・兵庫県北部・京都府・福井県を管轄するのは第八管区海上保安本部。
日本海側でも主として山陰地方を担任しており、京都府舞鶴市に本部が所在しています。
この管区の特徴は2つ。
第一に、
大韓民国が実効支配を続ける竹島周辺海域を担当すること。

竹島に最も近接した部署として隠岐海上保安署が置かれ、小型巡視船PS10さんべが配備されています。
その背後の鳥取県境港市にPL01おきやPL53きそといった大型巡視船が待機。
各要所に小型~大型船がバランスよく配備されているのは他管区と同様です。
第二の特徴は、
いわゆる“原発銀座”と呼ばれる原子力発電所の集中地帯を管轄していること。

特に福井県敦賀市の敦賀海上保安部には、PL91つるがとPL92えちぜんが配備されています。
この2隻はまったくの同型船ですが、えちぜんは潜水士たちが配属される【潜水指定船】として指定された船。
一方、つるがに潜水士は乗船していません。
かいほジャーナル101号
【特集】第八管区海上保安部
敦賀海上保安部・国際的な拠点として栄えた敦賀の海の安全を守るかいほジャーナル | 海上保安庁かいほジャーナル101号p6
とは言え、
潜水士もまた海上保安官であり、潜水技術を活かした犯罪捜査や警備活動に従事することもあります。
従ってえちぜんも救難だけを任務とするわけではなく、場面に応じて二隻が使い分けられていると考えられます。
↑つるが・えちぜんはくにがみ型(くにさき型)と呼ばれる船型で、石垣海上保安部に12隻いるものと同型です。
第9管区海上保安本部

石川県・富山県・岐阜県・新潟県・長野県を管轄する第九管区海上保安本部。
本部は新潟県新潟市に所在しています。
地域特性として、
好漁場である【大和堆】が日本海に存在し、ここが外国漁船による違法操業の場となっています。
そのため新潟港を拠点として、約400km沖合の周辺海域に大型巡視船が派遣され警戒監視に当たっています。

また、水産庁の漁業取締船との定期的な合同訓練も行われています。
第九管区海上保安本部公式X
午後6:00 · 2025年6月9日令和7年6月3日、大和堆周辺海域において、水産庁とより緊密な連携を図ることを目的として、巡視船等と水産庁漁業取締船が合同で、違法操業を行う外国漁船への対応を想定した退去警告、放水措置訓練等を実施しました。
https://x.com/JCG_9th_RCGH/status/1931999716444954802?s=20
⇩

もう一つ忘れてはならないのが、2024年1月1日に発生した能登半島地震。

震源地からわずか21kmほどの所に能登海上保安署があり、ここにCL101おぎかぜが配備されていました。
元々、地元の小木港を中心に活動していましたが、地震の影響で保安署の庁舎が使用不能となりました。
そこで拠点を七尾海上保安部に移し、僚船PC126はまゆきとともに業務を継続しています。
第10管区海上保安本部


第十管区海上保安本部が管轄するのは熊本県・宮崎県・鹿児島県の3県。
一見すると狭いようですが、鹿児島県は種子島~奄美大島~与論島までを含むため、実際にはかなり広大な範囲です。
この内、
鹿児島海上保安部は全国最多となるPLH型6隻を維持し、そのために大型巡視船専用の係留岸壁も建築されました。
配備されている最新・大型巡視船は次のとおり。

れいめい型×2隻

しゅんこう型×4隻
(2026.03.03~)

みやこ型×1隻
こらら大型巡視船は政府における【海上保安体制強化に関する関係閣僚会議】の決定に基づいて、2019年以降に就役した新型船です。
※2022年12月に「海上保安能力強化に関する関係閣僚会議」に名称変更

その主な役割は尖閣諸島における領海警備。
ただし、鹿児島から尖閣海域までは大まかに約900kmも離れています。
《参考》鹿児島駅から約900km…
・北東:長野県長野市、神奈川県小田原市
・西 :中国上海市
・北 :北朝鮮元山市
したがって、
この距離を往復し、かつ長期間にわたって現場海域にとどまり続けるために、大型船が多数建造されたというわけです。
令和元年度・令和2年度就役予定の巡視船・航空機等(増強)
令和元年12月20日「海上保安体制強化に関する関係閣僚会議」配布資料p11
海上保安能力強化に関する関係閣僚会議
第11管区海上保安本部

それではいよいよ最後に沖縄県全域を管轄する第十一管区海上保安本部。
沖縄本島の那覇市に本部を置き、そこから南西に宮古島・石垣島へと海上保安部が連なっています。
宮古島海上保安部から尖閣諸島周辺までは約190kmの距離。
そして、
石垣海上保安部からは約170km沖の海域で、海上保安庁による領海警備が日夜行われています。


尖閣諸島については連日のようにニュース報道がありますが、くわしくその場所を知っている方は意外と少ないのではないでしょうか。
その理由としては、
島が地図の上ではほんの小さな点としか表示されない大きさであること。
しかも、広大な洋上に孤絶して浮かんでいるために、本土からの距離感や位置関係がつかみにくいことが挙げられます。
この機会にぜひその場所を確かめてみてください。
さて、
それでは沖縄3島の状況について。
沖縄本島にはヘリ1機搭載型の大型巡視船3隻が従来から配備されていました。
・PLH04うるま
・PLH06おきなわ
・PLH09りゅうきゅう
ここに同型のPLH07せっつが最近加わったのですが、この4隻体制で今後も固定かは不透明です。
というのも、
3隻の内のうるまは従来から老朽化が指摘されており、比較的まだ使用に耐えるせっつと交代する可能性があるため。
<独自>尖閣巡視船、一時航行できず
昭和55年建造…老朽化で故障か
2021/3/21 21:43尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で領海警備に当たっていた海上保安庁の尖閣専従巡視船が1月、任務中に故障し、一時、航行不能状態に陥っていたことが21日、海保関係者への取材で分かった。老朽化が原因とみられる。
<独自>尖閣巡視船、一時航行できず 昭和55年建造…老朽化で故障か(1/3ページ) – 産経ニュース
(中略)
うるまは1月下旬、尖閣諸島周辺で、船内の電力をまかなう発電機の一部が故障し、動作不良になった。発電機を動かしている燃料タンクを確認したところ、大量の海水が混入していることが判明。海水を含んだ燃料をエンジンに使用すれば機関停止につながる恐れもあり、一定時間、エンジンを停止させたままの状態を余儀なくされた。
鹿児島に配備された新型PLHの登場とともに、那覇PLHの代替についても注目が必要です。

次に、
沖縄本島と石垣島の間に位置する宮古島について。
宮古島海上保安部では尖閣漁船対応体制が敷かれおり、計9隻の同型PS型巡視船が集中的に配備されています。
後述する石垣海上保安部が外国公船に対応するのに対し、宮古島海上保安部は外国漁船への対応を担っています。
ややもすると、
【石垣】の大型巡視船団の方が注目されがちですが、実は【宮古島】も尖閣警備の“最前線”なのです。

最後に日本最南端にして最西端の巡視船たちについて。
石垣海上保安部では尖閣領海警備専従体制が敷かれており、大型巡視船14隻が配備されています。

れいめい型×1隻

みやこ型×1隻

くにがみ(くにさき)型×12隻
特にくにがみ型(くにさき型とも言う)12隻はすべて同型であり、他管区にも配備されている汎用性の高いシリーズ。
そして、
石垣におけるくにがみ型12隻のうち10隻が尖閣領海警備専従船として使用され、さらに6隻が【複数クルー制度】によって運用されています。
かいほジャーナル第100号
【特集】第十一管区海上保安本部
石垣海上保安部・誇りと自覚と覚悟を胸に領海警備に全力を尽くすかいほジャーナル | 海上保安庁
基本的に、
巡視船には固定メンバーが乗り組み、その船固有の特性を習熟した上で運航されるもの。
しかし、あえて同型船を多数そろえることで、人と船を柔軟に入れ替えることができる体制になっているのです。
なお、実際にどの6隻が複数クルー制の対象となっているかは公表されていません。
まとめ
以上、
駆け足でしたが全11管区を巡視船マップの視点から眺めてみました。
いつも見慣れた日本地図も少し違って見えてこなかったでしょうか。
おそらくその理由は陸上で暮らす私たちの多くが、陸上を基点に物事を捉えているため。
しかし、海上保安庁の”現場”は海にあり、むしろ海から陸地を見通す必要があります。
例えば、
一見ランダムに配置されているかのように見える巡視船艇の配備も、実は沿岸と海上の地理的特性に基づいていることがマップから気づかれたかと思います。
そして、
今回ご紹介した様々な現場までの距離について、「意外と遠い」あるいは「案外近いなぁ…」とも感じられたことでしょう。
ひるがえって今後テレビなどで巡視船の出動映像を観るとき、
「一体どんな巡視船が対応しているのか?」
「その現場はどこにあって、陸からどのくらいの距離なのか?」
…そんなことに思いを馳せて、
海上保安庁の活動を応援いただければ幸いです。
巡視船マップでながめる日本2026
おわり


























